つれづれ製麺

好きな事を書いていきます。アニメの感想、小説、ゲーム(ソシャゲ除く)、ボカロなど。

読んだ本の感想! 2021.7月分

皆様一月ぶりです。

梅雨の時期が過ぎ去り、待ってましたとばかりに顔を出すようになったお天道様はご機嫌。狂気的な日差しにジリジリ焼かれて…照らされております。日焼け対策を講じながら歩道を歩いたり、子供はプールを楽しみにしたりしなかったり。そんな季節になって参りました。

さて、私は文章を書くために本を読む習慣を続けております。読むからには毎日書くことも大切です。

そして忘れないためにもこうして記録に残し、分からない単語は調べ開けるように残すこともしています。表現の幅を広げたいものです。

 

先月は見づらい記事になってしまっていたため、目次をつけ、自分の練習がてらあらすじもつけております。

今後も改善に努めていきたい次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月のラインナップです。

1.死にやすい公爵令嬢 エーリカ・アウレリアと来航者の遺跡 1

感想を一度消してしもうた…(泣)

ハリーポッターの様な短い杖を扱う魔道士と、純粋に魔力を保有しそれを扱う魔法使いが共存する世界観。ファンタジー色が強く、魔法を主軸としているため独特な雰囲気があるので好む人もいるだろう。

その要素に加えて悪役令嬢・エーリカに転生した主人公という設定が加えられ、より親しみやすくなっている。

主人公は仄暗い過去もとい前世を持ちつつも、無条件に他者へ手を差し伸べる優しさを備え持っている。ゲームの知識だけでない基地に富んだり才覚を発揮したりと"補正"が強い部分はあるが悪印象はない。魔力を持たないのもバランスを取っているのだと思われる。

 

2.モブに転生したら断罪後の悪役令嬢の身代わりにされました

☆あらすじ

主人公ドロシーは王国に使える魔女の弟子である。

彼女には前世の記憶があり、30歳の会社員。特にチートな力を授かっておらず魔女の厳しい教育によって扱かれる日々を送っている。

そんな彼女であったが、魔女の提案により転機が訪れる。ある時、王国立学園にて婚約を控えていた公爵令息・オスカーに婚約破棄をされてしまった公爵令嬢・グレース。ドロシーは目眩しの魔法を駆使しグレースに成り代わる事になる。オスカーに婚約破棄を撤回させるべく、ドロシーは奮闘する事になるのだが…。

 

感想

まあ表紙で分かるのだけども完全に女性向けの恋愛ものといった感じ。そこに乙女ゲームの悪役令嬢に転生という要素を付け加えている。

一冊完結かと思われるので、展開もスムーズで時間が空いた時に手軽に読める。ただ、気になるのは主人公の思考だろうか。物凄く鈍いというか、今まで読んできた作品は「周囲が勘違い系」だったのに対し、この作品は「主人公が(鈍感すぎてもはや)勘違い系」かと思われる。明らかに好意を寄せられているのに、そんなわけないわ!〜に違いないわ!とあらぬ方向に思考がシフトされるのだ。平民と貴族という身分差を踏まえても鈍すぎるのでもはや一種の個性として描かれているのではないかと考えたのだが、そうなのだろうか?(というか、この手の恋愛モノは鈍感主人公が多いのだろうか)

気になる点を書き連ねてしまったが、読み手としては一つの乙女ゲームを文章に落とし込んだようにも感じられた。明白には書かれていないが、恐らくこの作品は「ドロシーを主人公とした一つの乙女ゲーム」というコンセプトがあるのだろう。ただ、本人はその事に気が付いていないだけで。

そう考えると、乙女ゲームとして見れば良作なんじゃないだろうか。(乙女ゲームをまともにプレイしたことはないが…)

 

3.聖女さま?いいえ、通りすがりの魔物使いです! 1

あらすじ

モフモフに尋常じゃないほどの愛情を激らせる主人公・カナタ。職業は魔物使い以外あり得ない!と決めていた彼女は聖女を筆頭にあらゆる候補を突っぱね念願の魔物使いになる。人々からは(ステータスが10/1にまで下がるデメリットから)忌避される職業であれどお構いなし!規格外の力で無双しまくる、カナタのモフモフを極めるなんでもアリな物語。

 

感想

今まで読んできた中では一番無双してるのは間違いない。主人公が人智を超える力を持っていることが前提となっている。そのため、割り切ってギャグ、およびコメディであることを受け入れて読むべき。

気になる点は、主人公がモフモフを好きになった経緯をもう少し掘り下げて欲しかったところ。後は(要約すると)「徳を積んだから優遇されて転生」といった流れだったがそれならば前世に関することにページを割いた方がより良い。作品自体が終始明るく一貫しているため、暗い過去の話を取り入れるのが憚れたのかもしれないが…。※二巻がある為、ここら辺に関しては次回に期待か。

とは言え主人公子の目的が常に一貫されており、テンポも良い。問題が提示されても力技ですぐに解決に向かう為、ストレスフリーである。この迅速感はイセスマを彷彿とさせる。

読みやすいことは確かな為、ちょっとした合間に楽しむには申し分ないだろう。

 

4.セブンキャストのひきこもり魔術王 1

あらすじ

物理法則が魔法によって覆せる時代。セブンキャストと呼ばれる7人の魔術師達をひきこもりながら操作する主人公・ブラン。彼が出席代理を動かし通う学院に突如として転入してきたのはデュセルというブルーダイヤモンドの瞳を持つ少女。彼女は、ルーヴル王国のロンドン塔に10年間幽閉されていたアルビオン亡国の姫君であった。ブランは彼女と友達となるが、後に合衆国大統領の一人娘・ステラを含め、彼女らは三種の神器の奪還を試みていることが明らかに。ブランはそのうちの一つである草薙剣を死守すべくセブンキャスト達を自在に動かし、時に自身が憑依し立ち回ることとなるが…。

 

感想

学園ものであり、魔術も絡んでくるラノベらしさに溢れた作品。主人公ブランは魔術王という肩書きはあるものの、最強無双し過ぎるということもない。学園では最弱のキャストを操っている為クズ石呼ばわりされたり、ネタバレは伏せるが敵もかなり強い。メインヒロインの設定もしっかりしている為、特に欠陥も見当たらず好感が持てる。ラストに向かうにつれ転の部分に差し掛かり熱いバトルシーンもちゃんとあるので読み手を楽しませてくれるだろう。ラノベらしくヒロインとの絡みも抜け目なく書いている上で、癖が少なく読みやすい。

最後の方で起こした主人公の行動には少し驚かされたが、今後の展開が気になる引きだったと思う。良い意味で堅実な作品だった。

 

5.滅びゆく世界を救うために必要な俺以外の主人公の数を求めよ 1

☆あらすじ

ジンこと辻道尽は、現代と異世界を往来する能力を持つ。14歳でありながら前世の記憶を持つ令嬢・リルネと親しくなったジンだが、次の誕生日に彼女に死の危機が迫っていることを知ることになる。

他者の助けになることを信条とするジンは、リルネを守るべく正体不明の敵に立ち向かう。

新たな力に目覚め敵を追い払うことに成功するが、人々は石化してしまった。元に戻すべく、ジンはリルネに加え奴隷兼メイドのスターシアと共に旅に出ることになるが…。

 

☆感想

後書きから察するに2巻以降が盛り上がりそうな気配がある。タイトル回収も同じタイミングになると予想。主人公の能力については割と最初の方から〇〇○なんじゃないかなと思ってたけどその通りっぽい。

 

良かったトコロ

個人的にはリルネの性格は好ましい方。主人公を支える立場として、少し我儘でツンデレ気質なくらいが可愛い。

主人公に邪気がないので嫌いになるような性格ではないところも同様。

 

気になったトコロ

スターシアの掘り下げだろうか。次巻以降だろうし仕方ないとは言え、未来予知だけで主人公に従順すぎる気がする(まあ奴隷となるとそんな感じになりがちだけど)。リルネはともかく、主人公の前世に関してはもう少し語っても良かったと思う。人助けに執着する理由とかね。

 

 

 

全体的に無難な仕上がりになっている印象。ラノベらしいお色気シーンとかは少なめ。

作者名見るまで気がつかなかったけどあのみかみてれん先生だったとは…。(百合小説書かれてる方です)

 

6.英雄の娘として生まれ変わった英雄は再び英雄を目指す 1

あらすじ

国々でさえも歯が立たなかった邪竜を討伐したたった6人の英雄達の内一人・レイド。レイドは操糸と隠密のギフトを持ち、暗殺を得意を生業としている。そんな彼は邪竜の討伐にも大いに貢献していた。彼自身は、英雄でありライバルでもあるライエル——剣を扱い、勇者を体現したような彼に羨望を抱いている。ニコルとして生まれ変わったレイドは、ライエルのような人々から憧れの的になるような英雄を目指すことになる。

 

感想

カクヨム産の作品。転生ものですが、無双するどころか主人公は弱体化しているように思えます。ですが、潜在能力が高いので今後次第ではかなり化ける…と言った匂わせがある。

TSモノなので、中身が男であることを嫌がる人は読むのはお勧めできない。

ラノベということもあり、主人公には性欲は当然ある上、そのような描写は散見される。

 

良かったトコロ

主人公に向上心があり、体が弱いというリスクに挫折することなく努力を欠かさないところ。暗殺を得意としているが、性格は正義感が強く他者を思いやる心の持ち主。

 

気になるトコロ

主人公の目的が個人的にはあまりしっくりこない。その理由としてはライエルが勇者たらしめている描写が少ないところにあると思う。確かに聖女であるマリアを嫁に迎えたり、剣を極めているのだが…レイド自身が彼と関わって感じたこととかを知りたかったかも。

 

7.英雄王、武を極めるため転生す〜そして、世界最強の見習い騎士♀〜 1

☆あらすじ

女神の加護を得る事で神騎士として国を統治していたイングリス王。彼はその命が尽きる瀬戸際で女神に自らの望みを告げた。しがらみのない中で武を極めたい——その為に転生を遂げたイングリス(女)は強敵達と手合わせすることを渇望しながらも鍛錬を重ねていく。はるかな未来では世界の様相も大きく変貌を遂げていた。——魔印を持つ者たちだけが扱える魔印武具や人の魂を持つ魔印武具・天恵武姫、更にはそれらを地上に分け与える天上人という存在。

それでもイングリスが求めるのは強敵と戦える愉しみのみ。魔印を持たない彼女は侯爵家の娘・ラフィニアの従者として武を極める…。

 

☆感想

またしてもTSモノだが、主人公が戦闘狂なので良い意味で快く読めた。戦闘狂とは言えど、きちんと善意は持ち合わせている。人間側でも天上人を肯定するわけでもなく戦い優先。ある意味中立の立場に近い印象がある。

世界観に関しても想定以上に作り込んであるので次巻以降の話にも期待が持てる。

 

良かったトコロ

前述の通り、主人公が戦闘狂+元英雄キャラという事で一貫している。女神の加護を受けている為無双しているのでストレスフリーである。それでいて世界観がしっかりしているのも相まって飽きない。

嫌味がなく照れたりしてるところも普通に少女として愛らしく気持ち悪さはない。

また、相方のラフィニアが正義感のある明るいキャラクターをしているのでバランスが取れている。

 

気になるトコロ

戦闘狂なのが気に食わない人には合わない可能性がある。後は主人公は苦労してなんぼ派とは相性が合わないだろう。実際に特訓している描写はそんなに多くなくしたという事実だけで飛ばされている。

ノーヴァの街関連の話は賛否が分かれそうな印象。

 

8.願わくばこの手に幸福を 1

☆あらすじ

冒険者ルーギスは勇者達のパーティメンバーから虐げられる惨めな日々を送っていた。幼馴染の聖女であるアリュエノでさえも労りはするが、彼女を含め女性ら全員が勇者に心酔している。

そんなルーギスは、ある時得体の知れない男によって逆行を果たす。大聖堂へと送り出されてしまうアリュエノと再び会う為、ルーギスは冒険者として名を馳せようと奔走することとなる。その過程で、ルーギスはかつて虐げてきた女騎士や魔術師、さらにはあの勇者とさえも出くわすこととなるが…。

 

感想

人とは矛盾を抱える生き物、というのはまさにその通りで後書きの通り、それが如実に現れている作品。ルーギスは凡才という設定だが、正直言って並の人間ではないことは確か。史実を把握し切ってるのはもちろん、人の心理を理解した上で行動する人間が普通な訳ないw

個人的にかなりの良作だと思うので続いて欲しいですね。

 

良かったトコロ

ルーギスはかなり人間臭いキャラしてると思う。それ相応に恨み妬み怒りの感情を持ちながらも、ヒロインを見捨てられないところが好感が持てる。

ヒロイン達もキャラが立っており、特に騎士のカリアなんかはただの生真面目騎士キャラに収まらずある意味良い性格してる。(ネタバレは避けときます)

 

気になるトコロ

読み手が一貫したざまぁ系を望んでる場合は相性が悪いと思われる。

 

9.異世界転生した僕が最強なのはベッドの上だけなようです 1

☆あらすじ

高校受験当日の日に異世界へと転生してしまったクロノ。男爵家へと引き込まれ、3年間に渡り軍学校に通うが卒業も危ぶまれるほどの劣等生であった。

そんな彼だが、戦前にして逃げ出したエラキス侯爵に代わって軍勢の指揮をとることになる。初陣である上、勢力差があるにも関わらず勝利を収めた。

同級生であり友人のティリア帝国皇女に依頼され、軍事費の横領をしているエラキス侯爵を摘発することに成功。その後、ティリアによってクロノが侯爵の地位を継ぐよう持ち掛けられるが…。

 

☆感想

まず言わせて欲しいのがタイトルからゴテゴテのエロを期待している方は回れ右した方が良いと思われるということ。肝心のまぐわう場面はカットされてるので、ベッドの上で最強かどうかは全くわからないという…。

 

良かったトコロ

主人公の参謀キャラ達は有能で良い性格してるので好感が持てる。メインヒロインのレイラ(ハーフエルフ)は主人公に一途である。

 

気になるトコロ

主人公自身に信念というか軸のようなものがない。仲間を思いやるようで、性欲にはがめつかったり、敵とはいえ容赦無く暴力を振るい狡猾になる…などとキャラクターが安定してない。全体的に漫然とした印象さえ受けてしまう。

 

 

メインヒロインであるレイラ以外のキャラクター達は主人公の地位や借金などを欲して体を売りにくる。まあ下手に恋愛されるよりは良いと思うが、これは好みが分かれるところだ。

 

10.どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。1

☆あらすじ

森の湖の中心に住う魔女・ロゼ。物で溢れかえり散乱とした家内に引きこもる彼女には想い人がいた。王国騎士のハリージュ。4年前、慕っていた祖母が亡くなった時、周囲の心無い言葉に打ちひしがれそうになっていたロゼがハリージュの言葉を引き金に、ロゼは恋に落ちていた。

恋心をひっそりと仕舞い込んだまま魔女としての毎日を送る彼女の前に現れのは、なんとハリージュ本人だった…。

想い人から惚れ薬を作って欲しいと頼まれ、複雑な恋心を持て余しながらもロゼは材料調達をハリージュに依頼する。

 

感想

想定通り異世界(オーソドックスな中世ベース)を背景にした恋愛モノ。

特徴としては主人公が食事はレタスだけだったり同じローブで済ませたりする(作者曰く)ズボラ系であるという点。

 

良かったトコロ

特に嫌味なキャラクターが中心人物にいない。全体的に起伏が穏やかな雰囲気である為、安心感がある。ハリージュも(作者曰く)尽くす系のイケメンなので、大方の人は好感しか抱かないのでは。

恋愛ものとしてはそれ特有の甘いやり取りもちゃんとあるので過度に甘すぎない程度を求めてる層にはおすすめできます。

 

気になるトコロ

強いていうなら主人公のズボラっぷりが気に入らない人がいるかもしれません(好みの範疇ですが、あらすじから察するのは難しいので)。

それにちなみ、返事を「へい」と言うところは少しだけ気になったかもしれない。

 

主人公はズボラですが、恋愛に奥手でウブなところは可愛らしいと思います。

ハリージュに関しては彼視点があるとなお良かったかも。

 

11.魔導の黎明 (真理の織り手シリーズ)

☆シリーズ全体のあらすじ

魔導士が虐げれるラバルタ国。小さな村で治療の魔導士として在住するレオン。自身の魔導の力は三流と自負しながらも、かつての師の願いにより私塾を受け継いでいる。

レオンの元に魔導士の最高機関・黒の砦から1人の少年、ゼクスを託される。

レオンはゼクスの教育に骨を折りながらも、やがてゼクスと心を通わせていく。

ゼクスはレオンの反対を押し切り黒の砦に入団するが…。(1巻)

 

2巻以降、魔導士以外の人物視点も展開。また、ラバルタだけでなく他国との魔導士に対する認識の違いにも触れている。人々に植え込まれた根深い差別意識が主体となっている。嫌悪する人、当たり前を疑わない人などの中で、寛容な人、関心を持つ人、考えを改める人…とそういった人物の心境の変化が緻密に描かれている。

 

感想

シリーズ四作全て読み終えました。全作読みたいと思う程には好きなシリーズで、出会えて良かったと思います。

師弟関係で別れが訪れない作品って意外とないのかな…?

個人的には2巻が好きですが全部気に入ってます。

 

おすすめポイント

人物達に内省の心得があり、向き合おうとする意識がある。その中身も共感しかない。

差別を取り扱った重いテーマの作品ではあるのだが、する側もされる側も向き合おうとしている姿勢は好感が持てる。

魔導に関する設定が面白い。観点を変えているのも世界観に深みが増してる。

 

 

ただ、ファンタジーの世界観を楽しみたい方や、明るいノリの作品を求めてる方向けではありません。

 

12.英雄王、武を極めるために転生す そして、最強の見習い騎士♀ 2

概要

1巻から続き、騎士学校に入学。相変わらず戦闘狂のイングリスは反天上人組織である鉄血鎖旅団や新たなる魔印喰いの存在との戦いに期待が高まっていく。

感想

学校に入学する新展開ですがやることは変わってないwひたすらイングリスは戦闘力で無双している。しかしながら天上人と地上世界、天恵武姫の異変など問題の解決に関しては基本周囲の人間達やラニになるべく任せる方向らしい。(とは言えイングリスの圧倒的な力で解決しているのは確かだ…)

イングリスの鍛錬シーンはないが向上の意識は強いので多分やってる。

 

余談

TS要素を活かせてないという指摘があるようだ。

自分としては、この作品以上に深く掘り下げられると逆に不快感が出てくるのだが…今作品程度が自分には合っている。

 

13.魔道具師ダリアはうつむかない 1

☆あらすじ

魔道具士カルロの一人娘であるダリアは転生者であり、彼女もまた魔道具士である。

ある時、婚約者であるトビアスから一方的な婚約破棄を宣告される。それ以来、トビアスはダリアの商品登録を差し替えられたり、指輪を返して欲しいと強請られたりと散々なものだった。

それでもダリアは俯かないと決めた——周囲の提案で商会を立ち上げ、騎士であるヴォルフを救ったことをきっかけに親睦を深めていく。ダリアは多くの人々を幸せにするために、新たな魔道具を生み出すべく前進していく。

 

感想

ワインと飯テロ比率が多めの作品。水飲む感覚でワインを飲んでいるといっても過言ではない。

(まず酒に弱い人はここまでワインについて書けないと思った)

婚約破棄とざまぁ系、いわばなろう要素も盛り込まれている。しかしメインはダリアの魔道具関係、そして訳ありイケメン騎士ヴォルフとの馴れ初め関係で展開されていく。

 

良かったポイント

ワインと飯テロ描写が多めなので想像して美味しくなれる。(お酒はほぼ飲めないので本当に想像になってしまったが…)

主人公ダリアやヴォルフ、幼なじみやギルド関係のキャラクターなど、献身的で良い人達が多い。

進むにつれ、ダリアと父親の関係が掘り下げられていくのも良かった。前世や婚約破棄から立ち直っているのも成長の証だろう。

 

気になった点

特にないです。

 

余談

異世界系の中でも平和的で比較的スタンダードな世界観です。女性向け寄りではありますが、文体にもクセがなく読みやすかったです。

ダリアとヴォルフは、単純な恋愛関係だけでは済まないながらにも深い絆を築いていきそうだ。

 

14.ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は空きますか? 1

☆あらすじ

24世紀の東京が荒廃した年の一部、「アラカワ」。

廃墟ビルが林立するアラカワには、一軒の食堂があった。「伽藍堂」と呼ばれるそこには給仕を務める指折りの仕事人・リコリスこと、リコという少女。

そして天使のような少女・ウカが切り盛りしている。ウカは腕利きのリコに食材の調達を依頼し、時には彼女に同行したりして未知の食材——ドラゴン、毒キノコ、アヘン…etcウカにかかれば、豊富な知識を生かすことで極上の料理に変身。

美味しいものを一緒に食べるために!奮闘するリコとウカの物語。

 

☆感想

SFワールド全開の世界観。現代にある食材ではなく、SFにしかないような未知の食べ物がどんどん出てきます。(蜘蛛型ロボットの中身肉、拳銃のマガジンの蜂蜜かけなんて想像するしかない)まず現実では食べられないもの達ですが、これがとても美味しそうで食べられないのが悔やまれます。

ただSFグルメではなく、百合要素も多めです。男キャラもいますが、恋愛にはならず。

個人的には百合が大好物だったので大歓喜。世界観もユニークで面白いですし、大変気に入りました。

 

良かったところ

SF好き、グルメ好き、百合好きなら間違いなくハマると思います。

リコとウカの関係性もとい心情の揺れ動きもしっかり描かれているので突拍子感はありませんでした。

悪人がいない、癖のあるキャラもいないので快く読み進められました。

その上、戦闘描写まであるので満足感ありすぎる。

 

気になったところ

ファンタジーチックなグルメになりますので、現実的な料理を期待していた方はご一考。

ソフトですが百合(公式)なので苦手な人は同上。

 

余談

前から気になっていましたが読んで良かったと思いました。マジで感謝。

 

15.願わくばこの手に幸福を 2

概要

ガルーマリアの壁外、貧民街に拠点を置いたルーギスとフィアラート。ルーギスはカリアに自衛組織への接触を図るよう持ちかけ、自身は紋章教徒をまとめ上げる聖女・マティアを通じ使者のアンから貧民達を奮起させて欲しいと持ちかけられる。

やがて、ガルーマリア奪還の日を迎え、ルーギスはかつての勇者・ヘルトと真っ向から対峙することとなるが…。

 

感想

相変わらず台詞回しが味わい深い作品。

ヒロイン達もただの純粋な好意だけにとどまらず、ルーギスを試したり過剰評価し依存していたりと一筋縄ではいかないのも変わらず。

実際、感情とは単純なものではない。ましてや、簡単にコントロールできるものでもない。

ルーギスは葛藤しながらも、自分の心の声にきちんと耳を傾けている。彼らの胸中が丁寧に語られていることが、私がこの作品を気に入っている大きな理由である。

 

16.カタブツ聖騎士様は小悪魔な男装美少女に翻弄される 甘い口づけは執愛の印

あらすじ

聖女の力によって神の加護を受け、長い歴史の中平穏を保ってきた神聖エヴァン王国。戸籍を持たぬ移民もとい難民達は迫害され、日々を凌いでいくのに必死であった。優れた記憶力を生かし、難民街で情報屋を務めていたシルヴィは、娼婦達に引き込まれそうになっていた聖騎士・アルヴィンを助け出す。

町で医者をしていた亡き母・モニカを探していたという彼に対し、シルヴィは自身の性別と彼女の娘であることをひた隠しアルヴィンの従者を買って出る。

 

感想

小悪魔系男装女子という、属性モリモリの美少女とカタブツ系平凡男子の組み合わせ…ですが後者はヒロインの補正が加わりイケメンのようです。

まあ分かる人は買う前から分かっていそうですが、普通にベッドで暴れているので苦手な人は気を付けてください。

 

良かった点

意外というと失礼ですが世界観の設定が凝っている方ですね。聖女の力により国民が平和ボケし、長らく保守派の王国、という設定なんですが主人公がその聖女なので改革の根幹に関わってきてます。

 

気になった点

純愛好き、というか18シーンがいらない人向けではないです。

アルヴィンは童貞という設定があり、他にも誘因はありますが性描写関連が生々しく感じました…。(気持ちの問題かもしれません)

主人公が翻弄しているのは序盤あたりくらいのもので、あとは寧ろアルヴィンに翻弄されている気がしました。

 

余談

アルヴィンは途中からシルヴィに可愛いor天使ばかり言っていた気が…w

盛りついた猿になっていたのは苦笑いでしたが…それはもう個人の嗜好なので。(スミマセン)

もう少しページ数伸ばしていたら難民での生活や、主人公の内面を掘り下げられていたのかな…とちょいと惜しい気持ちに。

ともあれ、この手のゴテゴテ恋愛小説(?)はお腹いっぱいですな…恋愛メインはしばらくはいいかも。

 

17.難攻不落の魔王城へようこそ 〜デバフは不要とパーティーから追い出された黒魔道士、魔王軍の最高幹部に迎えられる〜 1

 

☆あらすじ

冒険者達が「アバター」となりダンジョンを攻略する姿が中継され、エンターテイメントとして確立された世界。周囲から軽蔑されがちな【黒魔道士】のレメは、親友であり、四大精霊のうち炎の精霊と契約した【勇者】フェリクスと1位のパーティーになるという誓いを立てていた。

しかし、レメはある事情により自らの実力をひた隠しにし、可視化されない【黒魔道士】のデバフを使役していた。そのことが事情を知らないメンバーから蔑まれ、追い出される形でレメはパーティーを抜けることとなる。

そんな路頭に迷うレメに声をかけたのは、亜人——吸血鬼のミラことカーミラだった。

誘われるがままに彼女に連れられたのは何と魔王城で…!?

 

感想

知る人ぞ知る「パーティーから追い出されたけど真の実力を隠していた」というパターンの作品。実力を隠している理由も真っ当なものなので、そこに違和感はなかった。黒魔道士蔑ろにされすぎでは…という気もするが、主人公が特別なのと、そこは物語を展開していく上では欠かさなかったのだろう。

 

良かったポイント

ヒロイン達に毒気がなく、特にカーミラは主人公を好きになったのに理由付けがきちんとしている。

カシュに関しては純真ロリなので言わずもがな。

そして主人公と親友であるフェリクスとの関係性もしっかりと掘り下げられている。レメの過去にも触れているので後の展開がより楽しめた。

終盤に熱いバトルシーンが見られるのは王道ながらにこの作品を良作たらしめている。とても好みの構成だった。

 

気になったポイント

特にないですが主人公とカーミラがその内🔞にならないかちょっとハラハラする。

 

余談

キャラクターの掘り下げが丁寧な部類だったように感じました。序盤でハーレムかと思わせておいて、カーミラの掘り下げやフェリクス関係がそれだけに留めさせなかった。

ざまあ系、無双系とも少し違う気がする。

 

18.魔王様、リトライ! 1

☆あらすじ 

かつて日本中のプレイヤーを熱狂させた「INFINITY GAME」。運営を務めていた大野晶は、15年間もの間続けられていたGAMEに終止符を打つ。

大野が瞼を開けた時、目前に広がるのは別世界であった。しかも…なんと、"大帝国の魔王"・九内伯斗の姿になってしまっていた!?

どうやらGAMEとは違う魔法の存在する異世界のようだが——

九内の持つ圧倒的な魔王の力は波紋を広げ、討伐を試みる聖女から狙いを定められてしまい!?

 

感想

ラノベかと思ったらなろう発だった(このパターン何回目)

多分だが、他ゲーのネタは結構入ってるんじゃないかなと感じた。後ネットスラングとか。

例の如く…というよりか想定よりもかなり無双系でした。

 

良かったところ

軽快なノリなので読みやすい。筆者がゲーム知識に富んでいるからか、ネタを絡めつつ展開していく。

故に、バトルシーンなんかは緊張感というよりかは安心感と笑いが込み上げてくる。

細かい部分を気にしなければエンターテイメントとして楽しめる作品。

 

気になったところ

ヒロイン達の癖が強い。一概にツンデレといっても口が悪かったりする…(一応主人公が指摘してはいる)

バニーっ娘、更には男の娘までいる。

中盤以降は更に無双色が強まるのは好みによりけり。

主人公の魔法耐性がない部分に関してはあまり触れられていなかった。

主人公は外道と良識人の二面性がある。

 

余談

挿入イラストに関しては絵師さんがカラー専だった可能性があるのだろうか?表紙は目を惹くのだが…。

アニメ化するほどの人気を博している作品。

 

19.ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 1

☆あらすじ

カトヴァーナ帝国は、隣接するキオカ共和国と戦争状態にある。イクタは、怠けたいと理由から司書の仕事にありつくべく——幼馴染のヤトリシノのツテを利用する代わりに、彼女を高等士官試験に首席合格させると言う、取引を交わしていた。

その事件当日、イクタとヤトリシノを始めとした5人が乗り合わせていた送迎船が浸水し、救命ボートにありつくもそのまま見知らぬ土地へと流されてしまう…。

イクタ自身は戦争を忌避していたが、本人の意思とは裏腹に運命は悪戯に彼を軍人の道へと導いていく…。

 

感想

戦記モノであり、そこに精霊と呼ばれる人形みたいな存在をパートナーとして連れている世界観が加わる。更に文体はラノベ特有のライトな感覚を加味しつつも、三人称神視点で展開される独特の語り口である。(なんとなく、前に読んだカドルステイト物語と文体が似ている気がした)

 

ここが良かった

ヒロインだけがただ多いというわけではなく、男子キャラも2人メインで登場するところ。

それぞれの個性が際立っており、悩み葛藤している一面が見られるのは好感が持てる。

戦記モノであり、かつ主人公は賢く弁が立つ。その為戦略を巡らせるのは彼の役目であり、他者の追随の余地もないほど。見方によっては無双系に近いかもしれない。

 

気になるところ

主人公イクタの性格はかなり癖が強い。合わない人にはとことん相性が悪いのではないかと思われるので以下のリストを鑑みた上で一考していただきたい。

・17歳にも関わらず女漁りをしており(年齢の基準に関しては作品の世界観によるが)、若年に限らず熟女にも手を出している。

・怠ける為に全力を出し、頭脳をフル発揮する。

・頭を使うことなら大体やってのける

・子供っぽい性格の人間が好きで、見た目にそぐわず大人っぽいのが嫌い

・上記も含み更にイケメンが嫌いだが、なんだかんだで良心はある為放って置けず手助けしたり時には心痛めたりする。

・論理的だが感情を爆発させ、掴みかかることも。

・基本的には飄々としており、物おじしない。

 

 

余談

一見、なろうであるような周囲の能力を下げて主人公をマンセーさせる方式に見られるようで、読み進めると実際にはそうではないと分かる。

詳しくは作品の最終盤に至らなければ分かりかねることだが、憎めないキャラをした主人公を受け入れられる上で気になった方は読んでみても良いと思います。

ところで、実は正ヒロインはヤトリではないのかな?

 

20.なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣 1

☆あらすじ

英雄シドにより、人間達が五種族の対戦を勝ち取った世界。英雄が携えていた煌めく剣の存在——さらには悪魔らを封印していた墓場に転落した際に目の当たりにした光景をカイは現実のものであると信じていた。

見張りや鍛錬を抜かりなくこなしてきたカイは、ある時幼馴染のジャンヌとの買い物中に景色に異変が起きる。気を失い、目を覚ますとそこにはカイのいた世界とは全く別の世界が存在していた——

街は悪魔らが徘徊し、人間は奴隷にされる…更には、カイの存在を仲間達やジャンヌでさえも忘れ去っていた。戸惑うカイであったが、元の世界と同じく存在している墓場に向かうと、天使と悪魔の羽を持った不思議な少女との出会いを果たし…。

 

感想

ページ数が控えめで、かつ読みやすいライト感。

きちんと完結している作品でもあるので最後まで読み切るのにも適しているんじゃないかと思います。

世界観をざっくり言うと人間と亜人類が敵対しており、主人公が居た世界では英雄を中心とした人間が勝利を収めましたが突如改編された世界に飛ばされるというもの。

主人公はなろう系と言うほど無双はしていませんし、努力家で真面目なキャラクターといった感じです。

 

良かった点に関しては、上述の主人公の性格もあり嫌味が少ないところでしょうか。

ラノベらしく最後の方で決戦シーンがあり、主人公がヒロインの助けを得つつも苦戦を強いられる為楽々勝利ではなかった。この点に関しては圧倒して勝つよりか(この点に関しては見せ方によっては圧倒してたとしても面白くできると思ってます)は好感触ですね。

世界観も相まって、厨二心をくすぐられそうな設定がいくつか出てきます。

 

気になった点に関しては、ヒロインのリンネが主人公を慕う経緯がやや薄かったところですね。助けたには助けたのですがリンネは亜人系なので人間に対する警戒もあるでしょうし、もう少しでもページを割いても良かったんじゃなかったのかなとは思いました。

 

余談

ラノベ好き、厨二っぽいのが好き、バトル好きな人なら1巻以降も楽しめるんじゃないかなと。学生さんあたりの若年層は特に好みにハマりそう。

なんとなく、本当に雰囲気だけならカゲロウデイズっぽい感じもありますし。

6巻まではunlimited適用内なので是非。

 

21.竜の住処

あらすじ

騎士ライオネルの元で育てられ、仕えていた類稀なる美貌の持ち主・ルサカ

ルサカは盗賊に攫われ檻の中に閉じ込められ運ばれていたところをファイアードラゴンのタキアに救われる。タキアは、美麗なものを愛するドラゴンの例に漏れずルサカの容姿に惚れ込み、ルサカはされるがままに印を刻まれてしまう。「竜の番人」となってしまったルサカは、ドラゴンと人との価値観の差異に戸惑いながらもタキアの無垢で純真な性格と触れ合っていく。

 

感想

BL×ファンタジー。unlimited適用内のBL作品少なくないか?もしかしてラノベの括りに入らないのかな(汗)

それはさておき、宵さんの作風はこれで二作品目になりますが、竜の住処は龍にスポットを当てられた世界観が関心を惹きました。

良かったところは、タキアは風貌とは反比例に子供っぽいキャラクターなのですが、それが好みだったところ。可愛い攻めが好きなんですよ…。

濡場も多く、満足感も期待できるのではないでしょうか。受けのルサカはショタっぽく、これもまた自分の好みに(ry。

盗賊以外は皆善人なので、癖の強いキャラクターが居ないのも良いですね。

 

気になった点に関しては物語の「転」部分含め、やや起伏が緩やかな構成である点でしょうか。とはいえ、濡場があるのでバランスは取れてるのかもしれません。起承転結は基本ですが大切なので!

 

余談

タキアが人間に近しい価値観を持っている経緯があれば読んでみたいですね。

続編では世界観をさらに掘り下げられそうなので楽しみです。

 

22.謙虚すぎる勇者、真の勇者を導きます!

あらすじ

赤の勇者・クレスは自堕落かつ横暴な振る舞いが災いし魔王の前で無惨に喰われてしまう。

現世でフリーターをしていた曽山光一と統合し、再びクレスとして転生を果たすことに。前世の行いを改め、死に至る手前に覚醒した黄金の勇者・ロランを育て導くためにと謙虚な姿勢を貫きつつ修行に励むことに…。

 

感想

文体が無職転生に近い。手軽に読む分には楽しめるんじゃないかなと。

主人公は女の子にモテているという意味では無双してますが実際に勇者として無双するのは別のキャラです。それでも主人公も平均より全然上のようですが。魔王の傘下達と戦うのは、次巻以降の模様。

良かった点としては、やはり手軽さでしょう。サクサク読めるので、ネット小説としては適していたんじゃないかと考えられます。

気になった点は、ライトさゆえの物足りなさだと思われます。戦闘描写ももっと力を入れてくれれば、厚みが増すと思うのですが…軽さがウリなのでやむを得ないのでしょうか。

ヒロインがちょろいのも気になりますね。主人公が鈍いのでがっつかれるよりは全然良いですけどね。

 

余談

前になろうで少し読んだパーティーに離脱されたヒロインが覚醒して魔王倒す話をなんとなく思い出しましたね。

 

23.シャバの「普通」は難しい 2

☆あらすじ

7人の大罪人と共に監獄で育ったエルマ。王子フェリクスの命により、ルーカス、イレーネと共にフレンツェル領へと視察に向かうこととなる。そこでは、魔に連なるものと長く渡り合ってきた歴史があり、フレンツェル家は魔に強いはずであったが…。領主は妻に先立たれ心を閉し、娘のデボラは魔蛾の瘴気に侵され醜女となってしまった。弟のケヴィンは病弱ゆえに閉じこもり、性格を拗らせていた。

エルマ一行はフレンツェル家に宿を取らせてもらうこととなるが、拗らせたデボラが嫉妬のあまり嫌がらせの横行に走り出し…?

 

感想

やっと読めたよ2巻。(中々一冊一冊の値段が張るためぽんぽん買えない事情があります…)

相変わらずの「様式美」が織りなす安定した面白さ。エルマが破天荒をやり遂げる度、その説明付には作者さんの知識力なしでは書ききれないと思う。

エルマ達のパートと、獄中パートの二つで織りなされていく形式なのですが1巻に続き新たな事実が次々と発覚していきます。獄中パートはネタが切れそうとか思っててゴメンナサイって感じでした。

そしてルーカスさんは振り回されてるようでエルマに首っ丈の模様。今後どうなるかがとても気になる次第です。

 

24.転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す 2

☆概要

第四魔物騎士団へ派遣されたフィーナは突如現れた黒竜の探索任務に駆り出されることに。

フィーナが黒竜と契約を交わしている事を見抜いていたクェンティンは、フィーナに尾を振るようになる。そんな魔物騎士団長の変貌ぶりに、ザカリーらも困惑を隠し切れない。

星降りの森へ探索にやって来たフィーナ含む騎士団は、次々と現れた高ランクの魔物と対峙することに。挙げ句の果てには、なんと青竜が二体も現れて!?

 

感想

(二巻目読むのに1ヶ月以上も空いた件について。)

この作品、作風のお陰で終始コミカルなので楽しく読み進められます。フィーナの過去が凄惨な辺り、表現の仕方によってはシリアスに仕上がりそうなものなんですがね…。とは言っても、黒竜ザビリアの回想シーンに関しては心傷に浸れそうですが。

ただ、主人公を立てるために周囲を弱体化させるにしても程度というものを弁えるかどうか、というのは考えもの。あまりにも著しいと不自然ですかね…。

この作品に関してはまだ明かされていない部分も多そうなので設定に関しては次巻以降にも期待を。

 

25.ひきこまり吸血姫の悶々 3

☆概要

ムルナイト帝国、七紅天のテラコマリことコマリは、ゲラ=アルカ共和国の月桃姫・ネリアの招待状を通じて核領域に建立されたリゾート地夢想楽園へやって来た。コマリは海を満喫(?)した後、ネリアと対面することとなる。彼女はコマリの力を称賛し、共に世界征服をしないかと持ちかけるが…。

コマリの部下達が夢想楽園のホテルを破壊したことが引き金となり、ムルナイト帝国はゲラ=アルカ共和国から宣戦布告を受けることになり!?

 

感想

ようやく3巻。ラノベの軽快なノリに百合要素が加わっている美味しい作品です。主人公が基本ポンコツ気味ですがやる時はやるので愛され系に昇華しているのも好みです。

出てくるヒロイン達がコマリと通じ合う部分を持っていて、互いに手を取り合っている姿が読んでいて楽しいです。

特に男性向けのラノベ作品は女の子主人公のものは中々少ないようなのですが、今作品のように百合要素を盛り込みつつコメディや熱い戦闘シーンで魅せてくれる作品が増えてくれるといいですよね。

3巻目、最後の方で魅せてくれる様式美も成立していて安心感がありました。

あと絵がめっちゃ可愛いです。これだけでかなりアドバンテージのある作品ですね。

 

余談

戦争が絡んでくる作品ですが、基本エンタメという設定となっています。また、主人公達が巧妙な作戦を立ててどうこうというのではないのでそこを期待してる人には合わないかも。

あくまでキャラ同士の掛け合いやコミカル加減を楽しむ作品です。百合要素も匂わせ程度です。

私個人にはとてもマッチしていますので、次巻以降も購入予定です。

 

26.願わくばこの手に幸福を3

☆概要

自らの過去へ戻り、かつて失った尊厳を取り戻す旅をしている冒険者ルーギス。
エルフと同盟を結ぶため彼らの統治都市・空中庭園ガザリアに赴いたものの、老王ラーギアスの謀略に嵌り、囚われの身となってしまう。これが後にガザリア内戦と目される壮大なクーデターの始まりだった。
エルフの姫君・エルディスの騎士となった彼は、智略を巡らせ、大軍を率いて、王座を目指す。
これが真の英雄へと至る道――凡庸な君よ、その手に栄光を掴み取れ!
一発逆転リプレイ・ファンタジー第3弾!

(筆者体調不良のため、Amazonの商品ページのものを引用させていただきました)

 

感想

なろうの方では最終章まで更新されていますね。

次から次へとルーギスが危機に晒されているというか、自分から突っ込んでいるというか…。

ヒロインたちの歪み具合にハラハラします。てっきりかつての勇者にくっついてる女の子達だけかと思ってたんですが聖女マティアも惚れるとは予想外。

地の文のハイセンスで、登場人物の複雑で重ーいいろんな味の混ざった蜂蜜みたいな心理描写が好みの作品なので、完結まで本が出てくれることを祈っております。

 

余談

本当は体調の良い時にじっくり読みたかったのですが…風邪をこじらせて熱を出してしまいました。反省しますorz

 

27. エリスの聖杯 2

「最後に笑うのはこのわたくしだということを、嫌というほど思い知らせてやるわ」


希代の悪女スカーレットの亡霊にとり憑かれたコニーは、その復讐に付き合う羽目になった。
十年前の処刑の真相を調べるための潜入捜査に、死神閣下ことランドルフ・アルスター伯との偽装婚約、果ては大貴族に睨まれての弾劾裁判と、忙しい日々を送るコニー。
だが、王国内に潜む陰謀の影が見え始めたと同時に、彼女自身にも得体のしれない魔手が迫る。謎の襲撃者をかろうじて撃退したのもつかの間、今度は親友であるケイトが誘拐されてしまい――!?
リリィ・オーラミュンデが遺した謎の言葉『エリスの聖杯を破壊しろ』の意味とは? そして、スカーレットを処刑台に送り込んだのは誰なのか?
悪女の亡霊×地味令嬢のコンビが、王国の闇に潜む巨大な陰謀に立ち向かう、大好評の貴族社会クライムサスペンス第二弾!

(Amazonから引用)

 

感想

前日よりは頭を回して読めていたと思います(多分)

サスペンス・ミステリー風味ということもあり、登場人物が多く混乱しがちだが、時折挟まれる人物

紹介がいい感じにカバーしてくれている

3部作の2作目は遂にスカーレットが処刑された理由、そしてその首謀者が明かされます。

ちょっとした登場人物も後で関わってきたり、意外な接点があるなど点と点が線でつながっていきます。初めは婚約破棄から始まりましたが、遂には国規模の話になってきたりと展開に目が離せませんね。コンスタンスは平凡ではありますが善良な心の持ち主で、共感を生みやすいのもこの作品の長所でだと感じています。スカーレットとの関係性も好きです。3作品目も楽しみ。

 

28.剣とティアラとハイヒール 〜公爵令嬢には英雄の魂が宿る〜 1

あらすじ

英雄と謳われる騎士、オルトゥスは二十万の軍を率いて百万もの魔物の大軍を退けるという戦果を上げその命を散らした。死の間際、彼は来世でも王の側にあることを願った。

転生を果たしたオルトゥスは、公爵家の令嬢・セレティナだった。類稀なる美貌を持ちながら、身体は軟弱——それでもセレティナは王を守る騎士になる事を諦めきれない。淑女であれと厳しく教育を施してきた母メリアが反対することも覚悟の上、打ち明けようと決心する。

 

感想

TSモノは読まないとか言った気がするんですが数が多いからね、仕方ないね(言い訳)。

この作品に関しては地雷感は全くなくて、主人公が「英雄王、武を極めるために転生す」と似た感じに戦闘狂じみているので楽しめました。ふんわりですがTS百合、NLと王と騎士の主従要素があって作者さんの嗜好の広さが窺えました。

あとがきにもありましたが主人公は精神面が特に完成されており、周囲が影響を受けて成長していく形になっていくようです。1巻の時点では主人公が苦戦している場面が多かったですが、今後は持ち前の才覚を遺憾なく発揮しそうな予感がありますね。気になる点としては、グロ要素もあるので、苦手な方は注意したほうがいいかなといった程度か。主人公の中身は男だが、女性に寄っている部分もあるようなのと1巻の時点では色事に構う気がないので恋愛要素楽しみたい方向けではないでしょう。

 

余談

TSモノは作者次第、作風次第という結論に至りました。そりゃそうなんですけどね。

病弱だけど勇敢みたいなギャップも良かったですが、今後はそうもならなそうですね。

 

29. サベージファングお嬢様 史上最強の傭兵は史上最凶の暴虐令嬢となって無双する

☆あらすじ

野蛮なる牙(サベージファング)の異名を持つ傭兵のエンヴィルは、魔術を使う相手とも渡り合える実力者。イルタニア神の寵児ミレーヌ嬢の処刑が敢行される手前、押し寄せたコルオーン軍と対峙し女帝に魅入られるもそれを拒み死に至る。

目を覚ましたエンヴィルは、あのミレーヌ嬢に転生していた——慎まやかなお嬢様の本性は野蛮な傭兵!魔力も得た最強の傭兵(ミレーヌ)は崩壊する国の未来をも覆すのか!?

 

感想

ちゃんと見てなかったけどタイトルに無双ってついてた。またまたTSモノなんですが今までの中では最も中身はヤンキー…否、雄々しい主人公。

中世風世界なんですがなんか893…任侠モノっぽさまである。

良かった点としてはやはり主人公のギャップですね。陰気臭さもなく決めたことはやるという清々しさ。殺伐とした傭兵時代から離れたことで人との交流に絆されていて好印象でした。

メインキャラに男の娘的キャラを置いているのも面白いですね。

気になった点としては主人公が拷問もできてしまうところですね…。爪を一枚一枚剥がしていく様はこちらまで痛々しさを感じてしまいました。傭兵でしたし、価値観や倫理観が異なるのは当然ではありますけどね。

 

余談

百合要素も今後増えていく予感を感じさせる締め括りでした。

 

30.青い鳥はオスかメスかわからないようです 前編

あらすじ

暁は、突然の落雷により気絶。その後、病院で意識を取り戻すも、そこは自分の知っている世界とは違った?電車の中——美男子の尻を、大型霊長類によく似た女が撫でさすっているという異様な光景を目の当たりにした暁は、彼を救出。

その際に居合わせた紀ノ川雫と友達になり、暁は男女の力関係や常識が入れ替わった世界では女子の方が気が合うことに気が付く。

やがてニシノ、栃丸も加わり共にカラオケに行くほどの中になるが…。

 

感想

設定は独特で面白い作品でした。やる夫スレに関しては詳しくないのでかなり新鮮でしたね。

男女の力関係というのは入れ替わっても存在自体は変わりませんね。男と女は当然違いますし、同じ性別でも考え方なり違ってくる。どうやったって同じにはなれない。この作品に関しては、男らしい男の価値観を持った主人公が立場の逆転した世界で過ごしあべこべ感を味わうというものですが…どうやら下巻以降ではそれとは別のSFストーリーが展開されそうな感じ。

気になったところは、男女の立場が入れ替わり、主人公が特に困っているようには思えないところ。何かしら障壁が生まれそうなものですが上手くやってるんですよね…。

ラノベ調なのもそうですが、主人公はかなり楽観体質のようなので、陰鬱な展開はやらない・そもそもそれがメインではないのならそこまでかもしれませんが。

 

余談

後編もunlimited範囲なので気になる人はどうぞ。

 

31.淡海乃海 水面が揺れる時 〜三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲〜 壱

☆あらすじ

一五五〇年。足利将軍家が三好家に追放され、室町幕府の崩壊が始まった歴史的な年。
近江にある小領地・朽木にわずか二歳にして当主へ就任した少年がいた。
その名は朽木基綱【竹若丸】。実は歴史好きな現代日本人の生まれ変わり。
天下布武に想いを馳せる彼の前には、財政難、人材不足、狡猾な他領の計略など数々の試練が襲いかかる。
だが、歴史を知る基綱は屈しない。圧倒的な知識と交渉術、豪胆さを武器に乱世を駆け抜けていくのだった。
史実に埋もれた、稀代の軍略家が日本史を塗り替える!
信長、秀吉、家康の三英傑を救った唯一人の戦国武将・朽木基綱の生涯を、大胆に描く大河ドラマ誕生!

(Amazonより引用)

 

感想

スミマセン、内容が複雑なのであらすじは引用しましたorz。

読むのに時間がかかり、内容も理解し切れませんでした(苦笑)。

日本史に倣った作品は初めて読んだ上に、特に戦国時代は自分も真面目にやってなかったので…。

ただ、それでも面白く読めるように作られていたので勉強になりつつも完読できました。

ヨーロッパなんかは他国との小競り合いもあったでしょうが、日本の場合は島国なので国内で領地争いしてる感じですね。

主人公がかなり日本史に精通しているのと利発的なため窮地をどんどん打開していますね。生き抜くためには私情に流されず、利用できるものは利用するというスタンスです。

国とか関係なしに、「社会」に生きる人間は腹の探り合いをするもんなんだなあと…。

そういうのがあるから、感情的になることは必要とされないんでしょうね。自分とは程遠い世界ですが、不必要とは言い難いものです。

 

余談

必然的に正史とは異なる展開になってきます。それでも、というか寧ろ日本史好きには楽しめるんじゃないでしょうか。文体も読みやすいでしょうし、人物や土地名、文章から正確に状況を飲み込む力があれば楽しめるはずです。私は学生時代、日本史には暗かったので難しかったですが。

 

 

7月分通しての所感

自分がファンタジーものを書きたいのでそのジャンルを読み漁っていました。それに加えてラノベ系志望だったので、やはり先月に引き続きなろう系が多くなりました。今月は文学系は真理の織り手シリーズくらいのものだったのでより顕著だったかと。

そろそろ海外文芸ファンタジーや、和風なども読みたいのですがこれが見つからない。

気に入った本は続巻も買いたいですし、だからと言ってたくさんは買えないので難しいところ…。

(ちなみに今月は全て電子書籍です。なので家に本は増えてませんw)

みなさんもぜひファンタジーラノベを読んでみてください。今時は転生ものが多くを占めていますが、その中でも面白い作品は確実にあります。

もちろん当たり外れはあるので、Amazonの星の数が参考になってきます。

Amazon Kindle unlimitedでは月額980円で読み放題です。本のラインナップも変わっていくので、読書をしたい方におすすめです!

 

以上