つれづれ製麺

好きな事を書いていきます。アニメの感想、小説、ゲーム(ソシャゲ除く)、ボカロなど。

読んだ本の感想 2021.8月分

雨の日が多く、晴れれば日差しが凶器…な8月でした。数年ぶりに妖怪ウォッチのゲームに触れたりもしましたが、相変わらず大体本読むか書くかみたいな日々でした。

暑いのであんまり体調は良くなかったりしますが、涼しくなったらそれはそれでまた疲れが押し寄せてくるという…気をつけます。

 

 

以下、目次です。

※全て電子書籍 Kindle unlimited適用作品です。一部、無料作品あり。

 

 

 

 

1.ボーズ・ミーツ・ガール 1 住職は異世界で破戒する

☆あらすじ

第六地球宙域駐留軍所属の従軍複製僧兵で、住職階級の「HTF‐OB‐03」は蟲人との死力を尽くした宇宙戦の果て、力尽きようとしていた。死の世界を目前にしたその時、神の思し召しか仏の救いか、不思議な力が働いて、彼の体は見知らぬ世界へと転移していた。召喚主の少女ケイトから魔皇討伐への同行を求められる。異世界で出会ったけなげな少女の願いをかなえるべく、鍛錬を積んだ孤高の戦士は、己の肉体と武芸を駆使して、新たな道を突き進む!

(Amazonより引用)

 

感想

現時点では読了に最も時間がかかった作品です。

文芸ジャンルから見つけてきたものなのですが、作者さんはなろうなどを中心に執筆している様子。

とにかく語彙が豊富、一句言い換えるのに何通りも持ち合わせているのだろう。

そこから仏教とSFなどの要素を付与しそれなりにぶっ飛んだ内容のはずが上手くまとまっています。

主人公のオショウは無双しますが、いわゆる魔王特攻の勇者パーティーの面々などは違ってきます。

彼らの掘り下げもオショウが成敗するまでの尺稼ぎではないです。バトルシーンは接戦、つまり白熱的で自分は面白いと思いました。

敵側もただやられにいくとか、力任せではなく頭を働かせているのが良かった。設定は私的にはかなり参考になるものが多かったです。

気になった点に関しては、仏教要素による主人公の口調、更に筆者に語彙の豊富さによりかなり複雑化しているところ。単語を調べながら読んだ人もいるんじゃないかなあ…。自分はこれでかなり時間を食いましたが。語彙が豊富ですが、本来の話自体はそう難解ではないので身構えず読んで貰えば楽しめるはずです。

 

 

余談

主人公の無双具合は爽快感すらありますが強過ぎて笑えてきます。仏教とSFという異色の融合体であるこの作品は、あまり細かい事を気にしない人向けだったりするのかもしれない…。

 

2.メニューをどうぞ ~イルベリードラゴンのテールステーキ ディアドラス風~ 

☆概要

『リゾート地で料理人として働いてみませんか?』そんな言葉にひかれて新しい仕事を選んだ栞。その勤め先とは――異世界のホテル!?国の王子と誓約を交わし、1年間ホテル・ディアドラスの料理長を続けた栞。見習いの双子ディナンとリアも加わり、巨大鳥の卵やドラゴン肉などファンタジー食材を料理して異世界人を魅了していく!

 

感想

異世界飯テロモノ(作る側)。

全体的に無難で読みやすい作品でした。異世界なので魔物系統を調理するのがメインになってます。主人公は自分の能力に無自覚で、知らぬ間に周囲へ恩恵をもたらしています。

恋愛描写はありますが、主人公が乗り気ではないので要素としては薄めです。個人的にはやたら恋愛されるよりは料理一筋なのが伝わるので良いと思いましたね。主人公の価値観というか料理スタイルはなるほどと思いました。

気になる点は他作品でもままありますが過程を飛ばしている点ですかね。転移前はともかくその後1年経過して苦労を後日談として語ってます。個人的には成長を見たいので複雑なところです。

 

余談

転生者は魔力が豊富という謎特典、かなりの頻度で見かけますね。特に理由もなさそうですが転生者による恩恵だけでなく、弊害があっても良い気がする。(現時点では弊害要素があった作品は1つだけでした)

 

3. ふしぎ駄菓子屋銭天堂 1

商店街の大通りをそれた脇道、その奥に一軒の駄菓子屋がありました。そこで売っている駄菓子は見たことがないものばかり。駄菓子を買った人たちにどんな運命が待っているのでしょう。全六話。(Amazonより引用)

 

感想

懐かしい気持ちになれる作品でした。子供の頃に読んでいた「怪談レストラン」を彷彿とさせるショートストーリー集です。

買ったお菓子の二面性が出てくるのはドラえもんのような定番のやり口です。分かりやすく子供が読むのに向いています。こういう作品が子供達の印象的な思い出のストーリーとして残り続けるのでしょうね。そう考えると偉大だなあと。

 

余談

図書館で借りようとすると予約がいっぱいで中々ありつけないという作品。

その話だけでもなんか懐かしいなあ…自分はミッケを借りようとして予約一杯だった。

 

4. タイム・リープ 上 あしたはきのう

☆概要

平凡な高校生・鹿島翔香はある時月曜日の記憶がなく、いつの間にか火曜日に存在していたことに気がつく。困惑する翔香が日記を開くと、そこには見覚えのない文章が。若松くんに相談しなさいという記述を頼りに、翔香は半信半疑で彼との接触を図ることとなるが…?

 

感想

タイムリープモノは混乱を招きやすいですが、この作品に関しては比較的ライトな文体で入り込みやすいです。一概にタイムリープと言っても同じ時間を繰り返すだけでなく、パズルのように断片を組み合わせるなどの形態があるんですね。奥が深いです。この手の作品には伏線も多いでしょうし、作り手の技量も求められるでしょうね。

 

5.タイム・リープ 下 あしたはきのう

概要 

タイムリープも終盤に差し掛かり、翔香は自身の身に起きる衝撃の真実と向き合うこととなるが…。果たして翔香は、無事に一週間を終えられるのか?

 

感想

タイムリープを読みやすく書けるのは作者の知見の賜物でしょう。

そしてこの作品、主人公は翔香と若松両方でしたね。最も、若松は心理描写し辛いタイプなので中心から一歩引いているように思われますが。終わりの方の話は完全にSFでした。

 

余談

若松はINTP辺りだろうとは思いました。前に読んだ「ねじまき精霊戦記」に近く機知に富んだキャラですが、あちらは何となくENTPかなと。

 

6.エリィ・ゴールデンとイタズラな転換 デブでブスでもイケメンエリート 4

☆あらすじ

親友のアリアナと共に国外へと誘拐され、オアシスの街・ジェラに立ち往生することとなった小橋川(エリィ)。しかしエリィはこれを好機と捉え、砂漠の賢者ポカホンタスによる修行兼ダイエットを行い、実力と容姿共に大幅なレベルアップを果たした。そんな中、かつてジェラの街で起こった誘拐事件により、ジャン・バルジャンの弟が拐われた事を知ったエリィ。そして大規模な救助隊を結成し、誘拐された子供達が「魔改造」を受ける施設を目指すのだが——もう、デブでブスとは言わせない!?手に汗握る魔法バトルから目が離せない!

(Amazonより)

 

感想

ちょっと間が空いた上に、全巻をどこまで読んだか覚えていなかった。再ダウンロードで96%だったのでほぼ読んだと思われる。

キャラの善悪がはっきりしている方の作品で、軽快なノリのおかげでどんどんページが進む。

美人になったエリィに対するスルメの反応には笑った。ここから更に周囲がどんな反応を示すかに期待が持てる。マンネリ化が見えないどころか盛り上がっていく作品。

 

余談

良作な上、アニメ化したら確実に面白くなりそうなものだが…ラノベ界は厳しいなあとつくづく。

 

7.天狗町のあやかしかけこみ食堂

☆あらすじ

お客さんがあやかしなんて聞いてないよ!

都内の洋食レストランで毎日忙しく働いていた箸本なつめは、突然の祖母の訃報に急ぎ実家がある茨城に帰った。そこでなつめは、祖母のエンディングノートに「食堂は孫のなつめに遺します」と書いてあったことが知らされる。

彼女は祖母の意思を受け取り、食堂『ほたる亭』を引き継ぐことに——しかしそのお店は、人間だけでなくあやかしもやってくる食堂だった…!?

和装イケメンの紅葉とともにあやかしの悩みを解決していく、ほかほかグルメ奇譚!

(Amazonから自主引用)

 

感想

レビューを見ずにダウンロードした作品なのですが、想定以上の良作でした。自分は基本日常系というか、変化の起伏が緩やかな作品は進んで読まないんです。ですがこの作品は一つ一つのショートストーリーに癒されてほっこりできました。日常系は読まないというのが自分の偏見だと気付かされます。

構成は複雑でなく、文体もするすると入り込んでくるため小学校高学年くらいからなら楽しく読めそうですし、社会人なら疲労に効きそうですw

できれば続編が出て欲しいですが、恋愛色は控えめかソフトな方が個人的には好みですね…(未だに引きずっている)

 

余談

この作品を読んでる間、妖怪ウォッチ2のケマモト村のBGMが脳内で流れていた…。

妖怪という要素、彼らを助ける人間との優しい物語…ゲームをやり込んだ時の、良き思い出と重なるんですよね。実は妖ウォは今4をやっているところでして、落ち着いてきたら記事を更新したいですね〜。

 

8.我が驍勇にふるえよ天地 1 〜アクレシス帝国興隆記〜

☆あらすじ

天下無双——アクレシス大帝、レオナート一世の驍勇は真実そう評される。

しかし、後に大陸統一を果たす彼も、若き日には“吸血皇子”の汚名を着せられ、故郷を奪われた、無骨で不器用な青年でしかなかった。

これは、大反逆の物語である。

 

再起を誓ったレオナートはまさに一騎当千

そして一本気な惹かれて集うは、神とも魔物とも例えられる数多の名将、賢者、才媛、奇才。

やがて彼らは腐敗した祖国を呑み込む一大勢力となり、群雄する大国全てと渡り合っていく!

 

痛快にして本格——多士済々の英雄女傑、武勇と軍略が熱く胸を焦がすファンタジー戦記、堂々開幕!!

(Amazonより自主引用)

 

感想

戦記モノは四字熟語多い説、ありそう。それはともかく、一冊で割とサクサク戦いを重ねるので中身は決して薄くないです。主人公は朴念仁(生真面目)ですが戦闘力は無比、加えてヒロインは名軍師なのでまさに鬼に金棒とはこのことである…。文体は神の視点、つまり筆者の主観が混じるのでやや好みが分かれるかもしれません。そこのところは前に読んだねじまき精霊戦記に近しいですね。こちらは主人公の癖はそこまで強くないです。

戦記もの好き、そうでなくても主人公が最強格で安心感のある作品を求めている人にはマッチしています。

個人的に気になったのはサブキャラ同士で乳繰り合っている某シーンのことですかね…すみません、ちょっと引きました。短いし性的嗜好なんだろうけどしばらく頭から離れなさそうだ…。

 

余談

そもそも公式のあらすじに結末書いちゃってあるというw

 

9.エリィ・ゴールデンとイタズラな転換 デブでブスでもイケメンエリート 5

☆あらすじ

「帰ってきたのね」「うん…!」ついに、故郷グレイフナー王国へと帰ってきた小橋川(エリィ・ゴールデン)。美しくなったエリィに驚きながらも、家族・友人達、皆が彼女の生還を心から祝福した。一方、エリィと共にグレイフナー王国入りをはたした砂漠の賢者ポカホンタス。彼はそろそろいい頃合いだと、なぜエリィに雷魔法を授けたのか、複合魔法の秘密をついに語り出すのだが——。

(Amazonより自主引用)

 

感想

今回は戦闘シーンなしの異世界ビジネス中心に展開。御涙頂戴シーンも交えながらグレイフナーでの生き生きとしたエリィの快進撃が楽しめます。エリィは聖女感ある少女の魅力と小橋川の男前っぷりが合わさり愛され主人公に仕立て上がってますね。そして箸休めになりつつも安定して面白かったです。

 

10.ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか? 2

☆あらすじ

夏も盛りの終末都市、東京。ある晩、空を覆った巨大なオーロラが電磁災害を引き起こし、町は暴動、紛争、大混乱。そんな時でも食のオアシス《伽藍堂》は明るく元気に営業中!……と思いきや、自家農園で謎のゲル状生物が大量発生!リコが駆除に奮闘する一方で、ウカはなぜだかほろ酔い気分。200年前の過去が甦り、事態は思わぬ方向へ……?

 オーロラから始まるドタバタ騒ぎも、仲良し二人にかかれば、ご馳走に大変身。食材はスライムに脱法ミルクに潜水艦!隠し味は、大切なあの日の思い出とひとつまみの幻覚剤!?

 遥か彼方の記憶達と巡り逢う、夏の爽やかな逸品を、どうぞ召し上がれ。

(Amazonより自主引用)

 

感想

またもや間が空きましたが2巻目。リコとウカの馴れ初め話をベースに、SF飯テロが止まらない。リコウカの関係性は至上ですが、周囲のキャラクター達も良い。素直になれなかったりしますが、互いに助け合うような場面を見ると優しい気持ちになれます。世界は荒廃していても、人や機械達の心は失われないって素敵。

そして相変わらずSFや食などに関する広い知見を感じます。尊敬。

 

余談

3巻目が出てほしい作品。もっと色んな人に読んでほしい。

 

11.剣とティアラとハイヒール 〜公爵令嬢には英雄の魂が宿る〜Second 

☆あらすじ

国への忠義を果たすため、英雄からか弱い令嬢へと転生したセレティナ。

魔物との一戦で呪いを受けた彼女は、前世の友を頼りギルダム帝国へ向かっていた。

するとなりゆきで兵士たちを助け、「慈愛の天使」と崇められる羽目に。

その上、悪徳領主に疎まれてお尋ね者になってしまう!兵士たちの強力で難を逃れた彼女は、友の窮地の報せを受けて城塞都市へ。

絶望的状況の中、「呪い」の力で見間違えるほどの剣捌きで魔物を薙ぎ払っていく!だが、その力は身も心も悪魔へと転化させる諸刃の剣だった……。

(Amazonより自主引用)

 

感想

周囲や敵キャラが露骨にナーフされていることもなく、寧ろ強敵揃いの作品。

主人公が騎士ということもあり、バトルシーン盛り盛り。それなりに謎を残しつつ、広げた風呂敷をどう回収していくか目が離せない。

主人公の男性性と女性性を兼ね持ってるのをきちんと描いてるのは感心です。TSものは大体男性性に偏ってる気がしてますので。

恋愛描写はあるものの、基本どちらかにその気がないためそちらも気になって仕方がない…。

あとリキテルは結構好きですね。主人公の存在を絶対的にさせないほどの戦闘狂ですが、番外編も兼ねると憎めない性格してます。確執はあれどそっちの気がないのも面白い。男女のライバル関係とか新鮮ですね。

 

余談

後書き見るまでイラストレーターさんが変わっていたことに気がつかなかったと言う不覚。

この作品は好きなもの詰め込んだ感が伝わってきます。自分も好きなものを形にする…「好きこそものの上手なれ」の真髄を勝手に感じ取りました。(笑)

 

12.エリィ・ゴールデンと悪戯な転換 デブでブスでもイケメンエリート 6

☆あらすじ

「いってらっしゃいませ、エリィお嬢様」グレンフィディックとのオシャレ戦争に見事勝利し、新学期をむかえるグレイフナー魔法学校へと登校する小橋川(エリィ・ゴールデン)。長く休校していたエリィは、進級のため特別試験を受ける必要があったが、砂漠の賢者による厳しい修行で大幅なレベルアップをはたしていたため、それを難なくパスする。そんな強く、さらに美しくもなったエリィに驚きを隠せないクラスメイトたち。しかし、かつてエリィをいじめていたスカーレットは、エリィの存在が面白くないようで――。

 

感想

今後の展開が読めない部分と、安心感のある部分の絶妙なバランスが美味しい。

そしてエリィと小橋川の関係にも新たな兆しが見えてきましたね。この2人が合わさってこその主人公エリィ・ゴールデンだと私は思ってます。軽快かつ読み応えのある展開がブレなくて、この作品の魅力だと感じております。

今回はいじめっ子のスカーレット関連も相まって感慨深かった。いじめられてた頃のエリィから努力の成果が如実に現れていて(小橋川と似た感じで)子供の成長を喜ぶ親のような気持ちです。

 

余談

後二巻で終わるとか信じられぬ…(泣)

 

13.白衣の英雄 1

☆あらすじ

稀代の天才科学者である天地海人。彼はある日目覚めると異世界に転移していた。海人が手に入れたのは『創造』という一度見たもの(植物以外の生物を除くほぼ全て)を作り出せる希少な魔法。女傭兵ルミナスに助けられ、彼女と同居しつつ、創造魔法を駆使してお金を稼ぎ、平穏で楽しい日々を過ごしていた海人だったが、様々な騒動に巻き込まれていき…。類まれな頭脳と創造魔法を駆使して敵を蹂躙!運動神経とネーミングセンス以外は完璧な、天才による異世界ファンタジーここに開幕!

(Amazonより自主引用)

 

感想

こちらの想定に反して無双せず、ハーレムも築かず、サクサク進みすぎることもない作品。主人公が元々天才であり、更に力をひけらかすことのデメリットも経験済みであるためイキることはない。

主人公の事情もあり恋愛要素がないので、女の子が集まってもコミカルに転換する。言わば、慎重勇者の聖哉とリスタの関係性みたいなものかと。

やや都合のいい場面はあれど、運動音痴という弱みがあるのでバランスが取れている。

戦闘描写は少なめ。ヒロインズとのギャグ色強めのやりとりを中心に展開されていき、そこが作品の強みとなっている。表紙とタイトルにギャップがある作品とも言えるのだはなかろうか。

 

余談

個人サイトからの書籍化した作品。

恋愛がないとギャグに傾くものなのだろうか。

 

14.役立たずスキルに人生を注ぎ込み25年、今さら最強の冒険譚 緑樫の章

☆あらすじ

怪物に襲われ、仮死状態となった幼なじみ・ソラ。彼女を救う唯一の手段は、トールの持つスキル〈復元〉を育て上げることだけ。だが、低レベルではまるで使い物にならないその性能ゆえ、ゴブリン相手ですら苦戦する日々。
 それから25年。努力の末、トールが手にしたのは「対象を自由に過去の状態に戻す」汎用性抜群のスキルだった!
 元より勘と経験だけは達人級。さらに今や最強スキルまで得た男は、ついに世界にその名を轟かせていく!

(Amazonより引用)

 

感想

主人公トールの25年にも渡る辛酸を舐める苦労の連続を描いた回想から一転、持っていた復元のスキルがLv10に達することで本当の冒険譚が始動する物語。成せばなるを体現して見せたトールは、スキル抜きの戦闘力も鍛え上げており相当の研鑽ぶりである。また、性格もぶっきらぼうだが優しい心根の持ち主である。

おっさん主人公がラノベでは流行っているそうで、この作品も例に漏れない。おっさん主人公の本当の魅力かどうかは分からないが長い経験ゆえの落ち着きを感じる。そして知識も豊富であり、ヒロイン達は言わば包容力的なものに惹かれていくのだろう。

主人公のみでなく、ヒロイン感の関係性なども挟んでおり読み応えとしては十分である。

おっさん主人公を読むならこの作品はおすすめできると思う。

 

余談

おっさん主人公は読者層の変動によるものだという考察がありましたね。

 

15.エリィ・ゴールデンとイタズラな転換 〜デブでブスでもイケメンエリート〜7

☆あらすじ

『グレイフナーに舞い降りし女神! その名もエリィ・ゴールデェェン!』そんな応援ボードに背中を押され、グレイフナー王国最大のイベント「魔闘会」に出場することになった小橋川(エリィ・ゴールデン)。そのエリィの前に現れたのは、さんざんエリィをいじめてきたリッキー家長男のボブ。スーパー美少女に変身したエリィに邪心を抱くボブは、エリィを手篭めにするべく、大胆にもグレイフナー魔法学校の校門の前でエリィを待ち伏せし――。

(Amazonより引用)

 

感想

魔闘界が中心に展開されていく7巻目。遂にクリフが表舞台に登場し、黒幕の存在も示唆され読む手が止まらないテンポの良さ。ずっと気になっていたエリィが小橋川に向ける感情が分かって良かった。エリィにとって、小橋川は救世主的な存在なのだろう。そして小橋川もエリィに親愛のようなものを抱いており、両者の関係性が心地良い。程よいギャグを付け足しつつ、エリィやアリアナが過去の因縁を払拭していく様は痛快。

 

余談

良作だからこそ続いて欲しかったのだが…。

 

16.聖女じゃないと追放されたので、もふもふ従者(聖獣)とおにぎりを握る 1

☆あらすじ

社畜、上里仁菜は今日も終電で家に帰り、米を炊いたところで炊飯器と共に異世界に聖女召喚された。しかし同時に召喚された美少女が聖女だとされ、仁菜は聖女でないと即断。王都から追い払われてしまう。捨てられて、手元にあるのは一緒に召喚された炊飯器一つ。どうしたものかと思っていると子犬が一匹寄ってきて……?

(Amazonより自主引用)

 

感想

追放されて聖獣が来るまでの流れが早すぎて笑った。あっさり読めてしまうので、軽く読みたい人向け。恋愛要素よりも、とにかく飯テロ成分が多い。全体の8割はそれで占められている。そのため、物語の進行が伸びてしまっており全体的に大味な印象を受けてしまう。とはいえ、従順(すぎる)美青年聖獣くんとイチャイチャしながら美味しいご飯を食べるという構図が好きな人は一定数いなければ書籍にはならなかったはずなのである。個人的には、聖獣くんが従順すぎてなんとなく現実味を感じなかったが、ファンタジーにそれはご法度だよなあ、と。どうにもNLに食傷気味である。

 

17.蒼薔薇の狙撃手 〜薄氷の弾丸〜

「引き金を引く理由ならある。私が生きるために、今、貴方を撃つ」

ティナ・バレンスタイン、齢二十。
歳にそぐわずあどけなさの残る容姿に、冷ややかな表情を乗せた女狙撃手は一人、傭兵として依頼をこなすべく魔獣討伐へと向かっていた。
手には母の形見の魔導砲、傍らには、武骨な巨躯の機械兵を携えて。

奪われる命、奪う命──トリガー一つで決まる命の争奪の末に、薄氷と評されたティナが求めるものは『強くなること』、『生きること』。そして…

(Amazonより引用)

 

感想

魔法、ロボット、スナイパーというカッコイイ要素を詰め込みつつ、主人公は美少女という美味しい作品。文字数も2.7万字とかなり軽めの分量なのでちょっとした空き時間に読む分にも良いだろう。短い分、整然とした展開となっておりかなり読みやすい。このままシリーズ化しても良いのでは?

 

18.マクベス(光文社古典新訳文庫)

☆あらすじ

「ヘエエエイ、マクベース!」荒野で三人の魔女から呼びかけられた闘将マクベス。やがては王になるとの予言どおり、ひたすら血塗られた裏切りと栄達への道を突き進む。王の座を手中におさめたマクベスの勝利はゆるがぬはずだった、バーナムの森が動かないかぎりは……。

 

感想

シェイクスピア三大悲劇のうち一つ。

マクベスが魔女に王になると予言されたことを発端に、夫人に扇動され王ダンカンを殺害してしまう。

マクベスはこれ以降、酷い幻覚や猜疑心に取り憑かれ暴君の王と化す。

シェイクスピアさん、そもそも劇作家ですもんね。ほぼ台詞のみで展開されるため、地の文は当然ない。その分台詞は長く、俳優さん達はこれを暗誦するなんて感心しかないです。

マクベス主体ではあるが、中々感情移入できるような人物ではない。寧ろ彼を討ち取らんと奮闘するキャラ達を応援したくなる。だが、魔女の妄想に囚われる前は悪に手を染める気配はなかったように思えるのがなんとも…自分は哀愁さえ感じた。

人間、一度悪に片足突っ込むと、逃れられない。何度も繰り返す者もいるだろう。この作品が伝えたいところのひとつとして、人の心は善にも悪にも染まることがあり得るのだとそういうことにある。

 

余談

蛸旅のアー○ストを思い出したがモデルにでもされてるのだろうか。

 

19.①畜犬談—伊馬鵜平君に与える—

☆概要

無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「文学者」[1939(昭和14)年]。いつの日か犬に喰いつかれるだろうという自信を持つ「私」が、犬を研究し最終的に一緒に生活しようと決意する物語。尾崎一雄に「甚だ面白かった」と言わしめたユニークな作品だが、「私」を太宰に投影した上で、本作を太宰の自己嫌悪の表れだとする見方もある。

 

感想

私=太宰さんだと解釈して読み進めていたが、ツンデレすぎて面白い。それが豊富な語彙と表現力で展開されていきつつ、短編なので丁度良い分量でもあります。終盤あたりは切ない気持ちになりましたね。

思っていたよりも読みやすく、陰鬱さもないので楽しめるかと思います。

 

②美少女

☆概要

無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「月刊文章」[1939(昭和14)年]。甲府盆地特有の猛烈の暑熱に眩暈を感じた「私」が、アセモに悩まされている家内とともに、皮膚病に効くという大衆浴場に出掛けて、青い桃実を思わせるからだをした少女を見るという物語。川端康成伊豆の踊子」にも通ずる、美しい少女の裸体に注がれるフェティッシュな視線が示されている。

 

感想

主人公は女性なんですが、男性性もあるような描写。(本当は女生徒を読むはずが間違えてたw)

こちらも短編ですが、見所はやはりなんと言っても主人公が美少女を見つめるときのシーン。締めくくりも作者の性格が出てるなあと。なんというか、自己嫌悪の念があるというか。そういうのが作品の文体に滲み出ている印象です。

 

※19日分は分量を配慮し短編2本にしました。

 

20.①夢十夜

☆概要

明治期の文学者、夏目漱石の短編小説。初出は「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」[1908(明治41)年]。「第一夜」から「第十夜」までの夢が幻想的で詩的に構成される。十編のうち四編は「こんな夢を見た」と、目覚めた視点から夢の記憶を語り始める。時代という外界に向きあってきた漱石が「夢」というかたちを借りて、自己の深みにある罪悪感や不安に現実感を与えた小説であり、荒正人は第三夜の夢を父親殺しと解釈した。

 

感想

多くの学生さん達が教科書で読んだ作品かと思われますが、十夜分は載ってないので覚えていたのは第一夜まででした。

夢を夢らしく描くというのも中々難しいんじゃないかなと自分は思うんですが、これを漱石さんは豊富な引き出しを駆使して短編として完成させちゃってますね。スゴイ。

文体もやはり時代を感じさせつつも読み返したくなるような味わいです。

夢一つ一つの解釈を考えてたら無限に読んでしまいそうです。

 

②女生徒

☆概要

無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「文學界」[1939(昭和14)年]。5月1日の起床から就寝までの少女の一日を描いた話で、少女の心理の移り行く様を丹念に写し取っている。当時、文芸時評を担当していた川端康成は、「「女生徒」のやうな作品に出会へることは、時評家の偶然の幸福なのである」と賛辞を送った。(Amazonより)

 

感想

太宰さん、パネエ…に尽きる。心理描写と言いますか、そもそも女性の感性をここまで高度に書き切る技術が凄い。少女は中学生くらいかと思われますが、彼女の一筋縄ではいかない複雑な心境には共感した。ある意味、彼女の貧しすぎず、という環境が現代に通じそうな部分があると感じる。

人によっては根暗、病みすぎでは?と感じるかもしれませんが人間味に溢れてて自分は好きですけどね。

 

余談

内省癖といいますか、自分の中であれやこれやと考えを巡らせる人間はこんな感じだというのを精密に描写できてるなあと。

本当の自分を誰も曝け出せないという考えに関しては、ホンモノを求めるINFPや直感持ちであり人々に目が向くINFJの人が感じていそうなことです。

 

※短編なので2冊読みました。

 

21.エリィ・ゴールデンと悪戯な転換 デブでブスでもイケメンエリート 8

☆あらすじ

グレイフナー王国を訪れたクリフの魔法〈天視瞑想〉のおかげで、エリィ・ゴールデンはついに小橋川と対話することに成功した。そして「魔闘会」最終日、最後の戦いに挑むエリィの前に、セラー神国の枢機卿ゼノ・セラーが現われる。セラーは会場を大混乱に陥れた挙げ句、手負いのクリフをさらって神国へ戻ってしまう。クリフを取り戻すため、エリィはアリアナとともにセラー神国へ向かうことにする。

(Amazonより引用)

 

感想

作品の魅力——魔法バトルやキャラの掛け合いなどのほか、小橋川が展開する異世界ビジネスもこの作品の面白さに大きく貢献している。ファッション関係の話は自分が疎かった分、新鮮に感じられた。

エリィは、魅力的な少女だ。彼女自身の心優しさに加え、小橋川のエリートぶりが加わり更には魔法に至ってもハイスペック。まさにスーパーガールというやつである。

タイトルのイケメンエリートを裏切らない小橋川はエリィの境遇に心動かされ、奔走し見守ることもしてきた。その過程、結果どちらも読者を楽しませてくれた。小橋川は良いやつであり、彼がいるからこそ軽快なノリで物語が進行できていると言っても過言でない。そんな彼がエリィとどんな未来を描いていくのか、これからも楽しみに思うことだろう。

小橋川、ありがとう。面白い作品を作ってくださった四葉先生に感謝です。

カクヨム版でも構いませんので、いつか完結してくれることを切に願います。

 

22.こころ(夏目漱石)

☆概要

私が「先生」と呼び、敬愛していた人からの手紙が届く。そこには、親友を欺いて好きな女性を手に入れた罪悪感から、長い間苦しんで自殺を決意した「先生」の想いが綴られていた。
友人、家族・親族、恋人との間に起こるの「こころ」の葛藤を、見事に描いた夏目漱石の名作。(原文をほとんど活かしたまま、現代に読みやすく改編されているとのこと)

 

感想

私と先生の話、私と家族の話、先生の手紙の話の3つのパート分けがされており教科書で読むのは先生の手紙の部分であり、おおよそ端折られている。

学生時代にこの作品を取り扱った記憶がありますが、かなり印象的でしたね。ドロドロしすぎだろ!とひとりごちっておりました。

しかし読み込んでみると人間の複雑な感情が交差し合い、奥深い物語が形成されていることが分かります。

その事もあり、いつしか全部読み切りたいと思っていた作品でした。前中パートの私視点の話は「私」が先生に向ける感情が敬愛を超えて崇拝めいてるように感じましたね…。それに対する先生もすげないようで拒絶はしないのでツンデレかと思ってしまう。

作品は若さゆえの未熟さというものが人物から感じ取れるように描かれている感覚はします。「私」は若いので、結構不機嫌になったり威勢は良い時があったりとムラがある人物。(そこがリアル=人間味があるんですよね)

気になったのは奥さん(お嬢さん)が魔性の女ではないかということ。彼女はもとより先生が好きだったのでしょうが試すような態度を取ってるので拗れたのかなと思わなくはない。とはいえ、登場人物みな善悪はっきり分かれてる作品でもないです。

時代背景(戦争や思想など)も大きく関わっているであろう作品ですが、こういった人間同士が織りなす感情の動きというものは現代に至っても続く人間社会において通ずるものがあるでしょう。

 

23.妖怪アパートの幽雅な日常 1

☆概要

共同浴場は地下洞窟にこんこんと湧く温泉、とてつもなくうまいご飯を作ってくれる「手首だけの」賄いさん――13歳で両親を失った俺が高校進学と同時に入居したのは人呼んで“妖怪アパート”! 次々と目の当たりにする非日常を前に、俺の今までの常識と知識は砕け散る。

(Amazon説明欄より)

 

感想

妖怪と幽霊の定義ってどこら辺にあるのか気になった。この作品の場合は幽霊も妖怪も共存しており、タイトルからもそれが窺える。

ラノベ調の文体に加え、主人公の一人称で進行。妖怪アパートには主人公が今まで会ったことのないような価値観や考え方をもつキャラクター達がおり、彼の世界を彩っていく。

私としても、価値感が異なる人たち、変わった考え方を持つ人と話をしたいという希望が前々からある。そのため、

この作品の伝えたい部分には共感ができた。

 

余談

この作品、位置付けとしては児童文書のようですが文体からしてもラノベの方が近そうです。(なろう発のような)

書き手としてはキャラクターに教訓を言わせるのと、行動に表すことその両立は難しいよなあ…と。

作者さんの情報が思った以上に見つかり、その内容が想定の斜め上だった。気になる方は調べてみると良いかも。(BLが苦手な人は注意)

 

24.乙女ゲームのモブですらないんだが 1

☆あらすじ

乙女ゲームの世界。その二人の第一印象は最悪だった。「お前、すっげぇ性格ブスだな」。庭師見習いに転生したイザークは初対面で率直に言い放つ。相手は理不尽に使用人をクビにすると言い出したわがまま令嬢のリュディア。当然、彼女の怒りは爆発! 破滅ルートへ……と思いきや、実は公爵令嬢として自信のなかったリュディアの心を解き放つ。いつしか近づいていく二人の距離。だが、それも束の間、彼女に第一王子との婚約話が舞い込んだことで事態は一変! 身分差のある恋か政略結婚か? 波乱万丈の未来はどっち???

(Amazonのあらすじを一部変更)

 

感想

主人公がひたすらタラシである。これで彼女いなかったとか嘘だよな?

庭師ということもあり、植物の描写多め。リュディア嬢は典型的なツンデレであり、しかし理不尽な暴力系には収まらない。主人公との交流を通すことで新たな観点を得たりして着実に成長していると感じた。第一王子に関しても同様である。リュディアの心の変化や、主人公の天然タラシ&お人好しぶりは心地よく感じられた。メイン人物が子供なので微笑ましい気持ちにもなれる。

 

25.超鈍感モブにヒロインが攻略されて、乙女ゲームが始まりません 1

☆あらすじ

「アイツらをゲームのキャラだと思ってる?」
モブキャラ転生者・篠山正彦の言動が、乙女ゲームの世界を変えた。理想のルートを夢みて奮闘していたヒロイン・桜宮桃は、地味メンの偉そうな正論に憤る。だが、よく観察してみると――彼は攻略対象のためなら厄介なイベントでも解決へ奔走する超お人好しで? (お節介? 身の程知らず? あれ、ちょっと、ステキ……かも)胸高鳴る桃はいつしか正彦に惹かれアピールを始める。しかし、彼は想像以上の鈍感だった!  事情を察した女子嫌いな王子、純情なチャラ男、病弱な眼鏡男子などモブを慕う攻略対象たちにまで同情から応援される始末……。
「なんで、本人だけ気付かないのーー!!」
頑張れ不憫ヒロイン、鈍感の厚き壁を打ち破れ!
超鈍感なお人好しのせいで乙女ゲームが始まらない、恋愛ファンタジー開幕!

 

感想

上の作品繋がりで一気に読んでみた。

公式のあらすじは…1巻に関してはまだヒロインがアピールするまでに至ってません。プロローグ的な部分ではそんな感じでしたが。

1巻ではほぼ馴れ初めを語っており、主人公の特異性が遺憾なく発揮されております。とてつもなくお人好しであり、ヒロインが攻略するはずのイケメン達を攻略します(BLではない)。

これによりそれを見ていたヒロインが惚れるという流れです。(それだけではありませんが)

まず見る目のある人なら惚れそうな主人公ですがそんな彼にも欠点があり、タイトルの通りとても鈍感だというところ。2巻以降は主人公を攻略したいヒロインとの攻防が始まるでしょう。

 

余談

乙女ゲームをモブ男視点という発想が好きです。

 

26.獣皇子と初恋花嫁

☆あらすじ

高校教師の立夏は、身投げする人を助けようとして川に落ち、気づくと獣人や耳と尻尾の生えた半獣半人が住む異世界にいた。不審者として捕らわれ、獣人に襲われるが、館の主人である麗しの東宮・紫藤に助けられ、山荘に匿われることに。そこで、自分の額に「呪禁師」の徴があり、それが獣人を惹きつけるのだと教わる立夏。けれど、それが穢れない者(=童貞)を意味すると言われ、憤死ものの徴に「この徴を消したい」と訴えるが、そのためには純潔を失わなければいけなくて…?

(Amazonより)

 

感想

BL×和風ファンタジー×獣人。

やや無理矢理orご都合主義な展開はあるものの、BL作品としては楽しめる範囲ではあると思う。攻めが白豹の獣人で、その系統が好きな人ならさらにおすすめできる。個人的には猫の篝丸が可愛くて癒された。この作品の中では一番好きなキャラクターかもしれない。和風BLは他にも読んでみたいのでまた見かけたら手に取ってみたいところ。明治あたりの作品とかも良いなあ。

 

27.人類は衰退しました 1

☆あらすじ

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は「妖精さん」のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の“調停官(ちょうていかん)”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが……。

 

感想

前からある作品で、タイトルが目を惹くのは今も変わりません。で、読んでみると主人公こと私ちゃんの性格が思っていたのと違っていて個性的だった。

女の子女の子してなくて、理屈をこねくり回すが惰性っぽいキャラ。(MBTI的にはINTP?)

そしてタイトル通りに人類は衰退しており、地球の人類的存在は「妖精さん」になっています。妖精さん達の文明が発達する様を、私ちゃんは調停官として見守り時に助言や手助けをすることとなるわけです。

妖精さん達は癒しキャラとして統一(ひらがななのでそう見える)されており殺伐さはまるで感じられない。

世界観、更には口語の文体どちらも独特であり好みが分かれそうではある。それを踏まえても不思議と読んでいたくなるような魅力がある作品とも感じる。

 

余談

人口統計によれば日本の人口も1000年後あたりには千単位になってるらしいという。そう考えると人類もいつか衰退するかもしれぬ。

 

28.処刑少女の生きる道(バージンロード) 2 ーホワイト・アウトー

☆あらすじ

古都ガルムをあとにしたメノウたちは、港町リベールへと辿りつく。
入り込んだが最後、戻ってきた者はいないと言われるリベールの霧。それは、かつて南方諸島連合を食らいつくした、四大人災『霧魔殿』だった。死んでも蘇るアカリを殺しきる手段を求めるメノウは、処刑人としての任務を完遂するため、その魔の霧を利用することを思いつく。
そんななか、メノウたちに接近するリベール伯の娘・マノン。“いなかった”はずの彼女の行動が、メノウたちの運命をアカリですら意図しない方向へと捻じ曲げはじめる――。

 

感想

(前回を読んでから結構時間が経ってしまい、内容があやふなな部分が少しあります)

中盤から終盤にかけて目が離せなくなるバトルシーン、そして明かされる新たなる真実が更に謎を呼んでいく。中盤以前は前座のような感じで、だからこそより面白く、満足感も強い良構成。これは次巻が気になる。

一巻で出し切ったとかは全然なくて、寧ろこれからだと言わんばかりに風呂敷が広げられていきます。

メノウはアカリに冷たくあしらっているように見せて彼女を思っているのが分かって良かった。

 

 

余談

今巻は(想像次第で補正は入るでしょうけど)、結構グロかったですね。これアニメでやるのかなと思うと楽しみなような怖いような…。

 

29.コボルドキング 1 騎士団長、辺境で妖精犬の王になる 

あらすじ

数々の武功で敵からも味方からも一目置かれていた騎士団長・ガイウス。戦場では勇名を馳せた彼だが政が苦手なこともあり、母の死をきっかけに爵位を返上し帰郷する。事実上のリタイヤである。故郷は森に侵食されていたがガイウスはそこで犬のような容貌の「コボルド」と出会う。彼らは森の眷属であり森中にコロニーを形成していた。初めこそガイウスをよそ者扱いしていたコボルドだが彼の勇猛果敢さに触れ徐々信頼をよせていく。

 

感想

コボルドという犬型の精霊達は可愛らしく、作品に和やかさに一役買っている。特にフォグは逞しい女性キャラで、最初から主人公を助けてくれる良キャラだった印象なのですが。(つらい)

癒しだけではなく、この作品結構敵が残忍でキャラが傷ましい重傷を負ったり死んでしまうことが少なからずあります。

それでも戦い抜こうとするキャラ達の姿勢には目が離せなくなります。…基本的に主人公は最強格ですが、それでも1人だけでは全部どうにかなるわけではありません。

全体的にコボルドの存在や個性的なキャラの組み合わせによって不思議な雰囲気のある作品ともいえます。

 

余談

キャラがバタバタ退場する作品は少なからずあるでしょうけど、やっぱり思い入れがあると胸が痛みますね…。

 

30.妖怪アパートの幽雅な日常 2

☆あらすじ

半年間の寮生活を経て、寿荘に舞い戻ってきた夕士。妖怪、人間入り乱れての日々がふたたび始まった。ある日手にした「魔道書」の封印を解き、妖魔たちを呼び出してしまった夕士は、除霊師の卵・秋音に素質を見込まれ、霊力アップの過酷な修行をするはめに……。大ブレイクの好評シリーズ、怒濤の第2弾!

 

感想

主人公夕士の親友・長谷がメインの二巻。全体的にあっさりとしていてすぐに読み終えられました。親友コンビの並々ならぬ友情が描かれております…ええ。アパートの住人達は毒気がなく、陽気で個性的。妖怪や幽霊などの不思議要素がプラスされて今後も愉快な日常が続いていきそうです。

作風としては依然として漫画調。

 

31.悪魔のような公爵一家 Ⅱ

☆あらすじ

アゾリアス王国の影の支配者(?)ラクトス一家。彼らは今日も国民達を恐怖に突き動かす!……なんてことはなく、長男ジェイクの婚約を控え、ますます愉快で賑やかな日々を過ごしていた。
一方、ラクトス一家の国家転覆罪を訝しむ王子アルトは着々と捜査を進め、遂に決定的な証拠を掴んでいた!
彼らは本当に悪なのか?
今、世紀を揺るがす悪魔的裁判が開廷される!
次々と明らかになる真実を前に、ほのぼの一家の明日はいかに?

 

感想

人間の思い込みは加速していく…勘違いしすぎて逆に心配になる程だが、人間の心理からして否定しきれないところである。

この作品を読めば、勘違いが呼ぶ面白さというものは決して無碍になどできないでしょう。公爵一家は見た目こそ悪魔のようですが、本を開けば微笑ましかったり笑えたりとそんな愉快なお話が楽しめます。明るい気分になりたい人に。

 

余談

様々な人物視点が展開されていくことで、勘違いとその回答といった見せ方をしています。勘違いものはこれが定石ですね。

 

総括

中身がライトなものを比較的選んで読んでいたかと思われます。が、日本文学…漱石さんと太宰さんを読ませていただきましたがかなり濃厚な内容で文体にも味わいがあり読み応えがありましたね。

今月初めて読んだライトノベルの中では「役立たずスキルに人生を注ぎ込み25年〜」が主人公の努力の末に豁然としていく冒険者生活は感慨深さがあり特に続編が気になりました。そして「人類は衰退しました」に関しては独特の文体に加え類を見ない世界観に惹かれました。「乙女ゲーのモブですらないんだが」も気になっています。ヒロインが可愛らしく、主人公も人のために動ける上、悪人がいない毒気なしの作品なのでお勧めできます。

癒し枠としては「天狗町のあやかし駆け込み食堂」がお勧め。なんとなく懐かしくなりながら主人公と妖怪達との関わりにほっこりします。

シリーズなら「エリィ・ゴールデンとイタズラな転換」は未完ですが軽快なテンポ感でスラスラ読めますので是非。

他にも続編を読もうかと考えた作品もありますが…私情ですが躊躇される要素があったので断念しております。