つれづれ製麺

好きな事を書いていきます。アニメの感想、小説、ゲーム(ソシャゲ除く)、ボカロなど。

読んだ本の感想 2021.11月分

この頃は寒いからか、首やら肩が凝りまくります…。腰なども痛いため、ストレッチするのが習慣化しつつあります。

首に関してはストレートネックも関係あるでしょうね…手も痛くなるのでしっかりケアを心がけております。

 

 

01.世界最強の復讐神官 ~神に仕えし者、魔王の力を手に入れる~ 

☆あらすじ

伝説の勇者たちを支えてきた天才神官・レイズ。勇者たちに裏切られ、最愛の妹を殺されたレイズは、魔王の力をその身に宿し、勇者たちへの復讐を始める――。魔王の力を手に入れた神官の壊滅的復讐ファンタジー開幕!

 

★感想

なぜかまた読みたくなったジャンル。陰惨さなどはなく、ストレスフリーで文体的にもサクサク読めた。そしてこの手にありがちな安定のハーレムを築きつつある主人公。とは言えがっつかないので不快感も無かった。

回復の力を反転するという技は2回目くらいかな?戦う神官や牧師を演出するのに使えるのとグロや復讐モノにマッチしてるのかも。

 

余談

たかがなろう系と馬鹿にはできないと思うんですよねぇ…ある程度選べばあっさり読めて精神的に楽というか…。

 

02.■

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☆あらすじ

なかなか就職がきまらない百花。ふとしたことで美容師の沙祈と知り合い二人は一緒に暮らすようになる。しかし沙祈はお酒を飲むと記憶を無くしてしまう。百花のことが大好きな沙祈は酔っては迫るのだが、翌朝はいつも覚えてない。胸のうちを日記に書いておくがこれは誰にも見せられない!憧れの沙祈と女同士の関係になりそうでドキドキ……。

 

★感想

百合を見かけたら読んでしまう習性になりつつある今日この頃。

生真面目気質な主人公といい加減だけど可愛くて美人な美容師さんのカップリングが素敵。

濡場と馴れ初めが程良い割合で空いた時間に読むのに良い百合と言った感じ。

ただ、この作品…中身はしっかりしているのに表紙で損している気がするんですよね。そこが勿体無いと感じました。

 

03.彼なんかより、私のほうがいいでしょ?

☆あらすじ

「好きな人ができたみたい……」
 えっ。その言葉に水沢鹿乃の魂は、一瞬すぽーんと旅立ちかけた。
 幼馴染の少女・堀宮音々。ゆるふわなセミロングが魅力、運動以外は成績優秀、家庭的で気もよく利く彼女が、好きな男ができたと言ってきたのだ。
 ――鹿乃は、音々が好きだ。
 女の子同士なのに。いつの間にか彼女が、親友以上の存在になっていた。それなのに……。どうしようどうしよう音々を渡すもんか、と思い悩んだ挙げ句、鹿乃の思考は、世にも奇妙な着地を遂げる。
 それは。
「心は無理でも、体なら……!」(!?)
 かくして、鹿乃の無茶でちょっと過激な【音々攻略作戦】が始まる!

 

★感想

ちょっと過激どころじゃないでしょ(汗)かなり濡場が多いです。全国の百合好きさんはこの作品を読んでのぼせてください(?)

鹿乃がめっちゃがっついてますが音々が好きであるこそなのでただのセクハラガールではないです。描写がエロいの一言に尽きるので濃密な百合であることに間違いはないな(確信)。

どんでん返しも何となくわかりはするけど良い終わり方。

ちなみに鹿乃はフェミ気質ですね。

 

04.ギルドのチートな受付嬢 1

☆あらすじ

ある日ドジっ子の神様により、間違えて命を奪われた秋野友昭。お詫びにとチートし放題の転生を持ちかけられ嬉々として受け入れるが、生まれ変わった姿はエルフの女の子だった!それから時は経ち、友昭は才色兼備の受付嬢・イリアとして、ギルド連合リュネヴィル支部で働いていた。剣と魔法の世界で、ギルドの仕事が今日も始まる。「小説家になろう」で大人気、チートな受付嬢が紡ぐ異世界ファンタジーが、全編大幅加筆修正でついに書籍化。書き下ろし番外編『イリアのチートな知人たち』では、web版では描かれなかったタイラントスパイダー戦の模様も収録。

 

★感想

まず謝罪させて欲しいのですが、体調の問題もあり250ページ(299ページ中)あたりで読むのを断念しました…スミマセン。まず主人公は本編が始まる前の段階から既に転生を果たしているにとどまらず長い旅を終えているという設定のようです。万能チートキャラで、なんかもうやれること、知識などが盛り沢山。さらには美少女なので周囲はデレデレです。中身は男なんですが、まあそこは不愉快というほどでもなかったかな。とにかく主人公チートなので人間に紛れ込む神みたいな立ち位置になってるみたいです。(そうなると成長するのは周囲になります)

 

05.山月記

☆概要

昭和初期に活躍したが惜しくも早世した小説家、中島敦の代表作とされる短編小説。1942(昭和17)年の「文學界」に、「文字渦」とともに「古譚」と総題して発表された。中国唐代の伝記「人虎伝」に基づき、詩に執心して、ついに虎に変身してしまった男のすさまじい宿命の姿を描いて、作者の自嘲と覚悟を語る作品。

 

★感想

国語の授業の定番(?)の作品ですが、また時間を置いて読んでみると新たな発見がありますね。

李徴の苦悩は同調というか、共感できるんですよね…。繊細だからこそそれを隠すために傲慢になるなんてのは、現実でもままあることです。弱さを認めることも、一歩踏み出そうとすることも案外簡単で難しいことです。後悔する前に、成そうと思うことを全力で取り組む事ができたらいいですよね。

 

06.銀河鉄道の夜

☆概要

ケンタウルス祭の夜、ジョパンニはカムパネルラと銀河鉄道に乗る。カムパネルラは消えてしまい、ジョパンニだけが目覚める。ジョ パンニの旅が、ブロカニロ博士の実験によるものだったという形態の作品。

 

★感想

宮沢賢治さんと言えば「雨ニモマケズ」、「やまなし」が教科書に載っていたのでそのイメージが強いですね。銀河鉄道の夜に関してはかなり独特な世界観で、全てを理解し尽くすのは難しい(寓意的や暗喩的なものが含まれているだろうと踏まえると)。

かなりファンタジーチックな描写が多かったです。その中で、いじめられっ子のジョパンニの孤独や年相応の悩みが描かれている。寂しさに押し潰されてしまいそうなのに、誰かの幸福を願おうと思えるジョパンニは結構できた人間では?と感じましたね…。互いに心からの幸福を願う人同士の繋がりは、どれだけこの世界に存在しているんでしょう?

 

07-1.檸檬

☆概要

大正から昭和期の作家、梶井基次郎の短編小説。初出は「青空」[1925(大正14)年]。肺を病んだ“私”は、果物屋檸檬を手にすると妙に落ち着いた。好きな丸善の本屋へ行ってみようという気にもなった。いざ行ってみるとまた不吉な魂が頭をもたげくる。ふと“私”は思いつく。檸檬を画集の上においてみる。まるで爆弾のようではないか。簡潔な文章で描かれた鮮やかな檸檬は年月が経ても色褪せることはない。

 

★感想

繊細な心情の描写がセンスに溢れた文体で連ねられた短編。軽く読めるのに味わい深い愉しみがある。

 

07-2.杜子春

☆概要

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の代表的な童話。初出は「赤い鳥」[鈴木三重吉主宰、1920(大正9)年]。短編集「夜来の花」[新潮社、1921(大正10)年]に収録。親の財産を使い果たした青年「杜子春」の前に老人が現れ、老人の指示通りに穴を掘ると大金が見つかる。その後も老人は度々現れる。原典は鄭還古「杜子春伝」。教育教材としても多く論じられてきた。

 

★感想

個人的には結構好きでした。どれほどの大金があってもそれらは有限であり、最終的には自分を心から想う存在こそに本当の価値があるのだと気が付けた…という寓意的なお話。

 

08.人間椅子

☆概要

外務省書記官夫人である佳子は、美しい閨秀作家としても知られていた。そんな佳子のもとへ、突然ある男から原稿が送られてきた。その原稿には何が書かれていたろうか?…彼女がいま腰をおろしている書斎のイスのなかに、彼女をひそかに恋する男がひそみかくれている!肝を冷やす“人間椅子”の秘密はここに明かされた!

 

★感想

オチを知らずに読んだのでかなりゾッとさせられました。気色悪い系のホラーですね…女性としてはこちらが好きでもない男性の好意は恐怖しかありませんからね(全ての女性がそうとも限りませんし、男性も然り)。読了後は書き手が巧みだからこそ惹き付けられるんだろーなーとひたすら感心でした。(一歩間違えれば18禁でしたね…)

 

09-1.年越 

☆概要

明治から昭和にかけて活躍した小説家、歌人である岡本かの子の小説。初出は1939(昭和14)年雑誌名不明。のちに創作集「老妓抄」[中央公論社、1941(昭和14)年] に収録。年末のボーナスを受け取って、同僚の明子たちと帰ろうとしていた加奈江は、突然飛び出してきた同僚の堂島に頬を平手打ちされる。動転しつつも心あたりのない加奈江は、上司から堂島がその日付けで退職していたことを知らされ、住まいも転居しているとわかる。加奈江は明子らと銀座などの人ごみを歩きながら復讐のために堂島を探し続ける。そして終に彼を掴まえ復讐を果たすのだが、その後意外な手紙を受け取るのであった。

 

★感想

復讐心というか、怒り、憎悪って恋情と同じくらい苛烈な感情…だからか、同じように感じられる。

堂島は加奈江の心を惹きつけることには成功したが、結果としてはいかがなものか。かといってそのまま告白していたら上手くいったものか難しいので、何が良いか悪いかとも判然でない絶妙な作品です。

 

09-2.鮨

☆概要

明治から昭和にかけて活躍した小説家、歌人である岡本かの子の小説。「文藝」[1939(昭和14)年]に掲載された。のちに創作集「老妓抄」[中央公論社、1941(昭和14)年] に収録。東京の坂の多い街に「福ずし」はある。店に来る十人十色の常連のなかで、湊といい「先生」と呼ばれる男がいる。店の娘で客あしらいには慣れている「ともよ」だが、湊のすしを食べるとき妙に気にかかるのであった。母と子の鮨の回想は、細やかな情愛に満ちている。

 

★感想

湊の回想が特に巧みな描写で惹き込まれる。両親から離れ気味で孤独がちなともよが、湊の母親に関する話しを聞いてどう感じたのかは想像次第。

今回は岡本かの子さんの作品を二作拝読させていただきました。

 

余談

日常を面白く、味わい深く描けるのは書き手の技量次第。大抵は何かドラマは非日常を足すことで読ませるストーリーにするものだろう。

 

10.蒼薔薇の狙撃手 ~深淵の探索者~

☆あらすじ

——世界はままならない。
 けれど、そればかりじゃない——

母の仇を討つため、巨大地下空洞『新しき深淵』の探索に繰り出すティナ。
しかし、ひとりスコープを覗き続ける彼女が今回見舞われるのは、彼女を賭けた男二人の決闘勝負?

仇、憎しみ、戸惑い、信頼。
薄氷と呼ばれた少女が見出す、彼女の戦いの『意味』とは。
彼女の精密で無慈悲な弾丸が撃ち抜くのは──

 

★感想

前巻から期間が空いてしまいましたが二巻目。

過去編ということでシリアスな雰囲気から打って変わり、読了後は爽やかな余韻があります。

レッドは良いイケメンなので、NL展開であっても特に嫌悪感がなく寧ろ応援したい感じはする。ジャンプの主人公にいそう。内容も王道でアツい!好きな系統です。

 

11.グスコーブドリの伝記

☆概要

大正~昭和期の童話作家、詩人である宮沢賢治の童話。初出は「児童文学」[1932(昭和7)年]。「現代童話名作集」下巻[文教書院、1933(昭和8)年]所収。イーハトーヴの森の樵一家のブドリの成長と自然災害克服の話。冷害で父母が自ら森の奥に消え、妹のネルも知らない男に浚われてしまった経験をもつブドリは、後に火山局の技師となってその年の冷害を克服するために島に一人残る。冷害で苦しむ農民を見てきた農学者賢治の渾身作。

 

★感想

全てを理解するには至りませんでしたが…最終的なメッセージ性自体は分かり易かったです。

自己犠牲の精神、言い換えれば誰かの幸せが自分の幸せでありそのために行動を起こすことができるのか…というのが他作品にも通じる作者の思想かなと。

ブドリは辛酸を舐めつつも他者のためにと勉学や研究に励み、人々に恵みをもたらします。彼の行動は、まさに純粋な幸福を願いそのためには自らも糧にするという思想によるものなのでしょう。

崇高ではありますが、自分としてはそれで良かったのか?と思いはします…。しかし、ブドリにとっての幸福は本人にしか分からないんですよね。

 

12.ロメリア戦記 ~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~

☆あらすじ

「ロメリア伯爵令嬢。君との婚約を破棄する」冒険の旅路の末に魔王を倒した直後、アンリ王子はそう宣言した。婚約者を失い、仲間からも見捨てられたロメリアだったが、彼女はくじけなかった。祖国にはいまだ魔王軍がはびこり、魔族に囚われ奴隷となった人たちがいたからだ。彼らを救うため、行動を開始したロメリアの前に、数々の困難が立ちはだかる。だが、彼女はアグレッシブに解決していく。「軍隊がない?地方領主を脅して砦を乗っ取りましょう」「新兵ばかりで使いものにならない?魔物を退治して経験を積ませましょう」「お金がない?商人たちと商談して、資金を出させましょう」そして、ロメリアは忠誠を誓う者たちとともに、いま出陣する!

 

★感想

一定の需要があるデキる系女主人公のファンタジー。ただし戦闘には向かず、慧眼と補助的なスキルで逆境に立ち向かっていく。完全無欠なんてこともなく気付きを得つつも成長の余地ありなので今後には期待ができる。

少し気になったのは王子達と旅をして様々な経験を得たのは良しとしても兵を動かす軍事知識はどこから?という疑問がある。金銭関係、事業のやりくりはまだ分かるのですが。

そしてやはりかな、婚約破棄から始まるということもあり相手方(特に王子)は無能になってます。これはテンプレってやつだ。

イラストが秀麗で良かったです。章の始まりに1枚付いてるのが個人的には好みでした。

 

余談

やはり女の子主人公が果敢に立ち向かっていくファンタジーものを求めているので今後も良作に出会いたいですね。

 

13.青薔薇の狙撃手 ~隻浄眼の乙女~

☆あらすじ

「一人じゃできないことはたくさんある。仲間の力が必要な時がある」

ブルーローズの仲間達と共に巨大地下空洞『新しき深淵』の探索を行うティナ。
ソロ時代には決して辿り着けなかった第三層『音叉の洞窟』を前に、チームの力を改めて実感するが、そんな彼女を次に襲ったのは仲間との『対立』という問題だった。

さらには謎の少女が現れた事で、事態はややこしい方向へ――。

チーム故の『力』。しかしチーム故の『対立』。
はたしてティナは、この問題をどう乗り越えるのか。
そして現れた少女の正体とは……。

 

★感想

相変わらずの安定した面白さ。起承転結がしっかりしているためか終わりが毎回スッキリしているのが良い。ティナ主体ではあるが、レッドは見守り導く立場を確立させているのか今回ではっきりしました。作品自体はティナの成長をメインに描いており、悩み逆境に立たされながらも前進していく姿が好印象。

 

14.引っ込み思案な神鳥獣使い―プラネットイントルーダー・オンライン― 

☆あらすじ

ロボットと人が共存し無人化が進んだ未来。
田舎育ちのツカサは人見知りの自分を変えようとVRMMOゲーム「プラネット イントルーダー・ジ エンシェント」を始めると――そこは、PKの横行で過疎化した世界だった! 更に彼は役立たずのヒーラー「神鳥獣使い」を選んでしまう。
不安一杯のツカサだが、神鳥獣オオルリのふかふかさとキュートな仕草に励まされ一転!
勇気を出してPKKで有名な剣士や口下手な女騎士と個性的な面々に話しかけていく。
すると、彼の礼儀正しいふるまいや、鳥と戯れる愛らしい姿にほっこり和みモードに!
たちまち掲示板でも話題になり、素直な彼らを狙う悪質なプレイヤーも現れて……?

 

★感想

MMO世界を描いた作品は、実を言えば避けてました(文中にゲームの説明やステータスが多く出てくるので)。とはいえ食わず嫌いというわけには…と思い手に取った今作。

まず人を選ぶのが作品の半分近くは5chスレッドが占めており、ゲーム世界なのでステータスも多めです。それ以外を除くと主人公ツカサが人と触れ合うべくMMOを通して人と交流、純粋に世界を楽しむストーリー。

MMOは全く詳しくないのですが良し悪しをきっちり描いているように感じました。特に人との出会いによるプラスのほかに、マイナスとしてはいわゆる害悪プレイヤーによってゲームが破綻するといった感じ。

5ch的スレッドに関しては読むのが躊躇われるかもしれませんが、目を通すと結構リアリティがあります…。

(小説として成り立ってるのか問題はありますが、楽しむ分には良いかなとは思いました)

まだまだ序章といった感じ&今後が面白くなりそうなので、MMO小説好き・気になってる方にはおすすめできそうですね。

 

15.鼻

☆概要

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の代表的な短編小説。初出は「新思潮」[1916(大正5)年]。「鼻」[春陽堂、1918(大正7)年]に収録。原話は「今昔物語集」巻第二十八「池尾禅珍内供鼻語」第二十。長すぎる鼻を気にしている「禅智内供」がどうにかして鼻を短くしようと奮闘する話。執筆当時、久米正雄に高く評価を受けた。

 

★感想

短さゆえに鮮烈で強い問い掛けが記憶に残りやすい。鼻がコンプレックスの内供だが、本当に長いのかも怪しいような…自分が人にどうみられているかある程度意識する事は勿論必要ではある。けれども、それが過剰になれば自分自身や大切なことを見落としているなんてこともある。

今作品の場合は内供が強い思い込みで自分を縛り付けてしまっている。逆を突けば、良い思い込みさえしてしまえば目に見える世界はどうとでも良い方向に向かうのかもしれない。しかし実際のところ、都合の悪い思い込みを患うことの方が多いのが人の心ではなかろうか…。

 

16.ハングリーシスター: 魔物料理が戒律で禁じられていようとお構いなし!だって私は腹ペコだから♪

 

☆あらすじ

——魔物だって、食べ尽くす!
「食」を愛する風変わりな神官タマとその仲間達が織りなす、グルメファンタジー
旧人類が起こした大戦により、科学が滅びた世界。
魔獣との共生を余儀なくされた人々は、魔導文明を興した。
そんな中、魔物食は人々の生活に浸透していく。

自由都市同盟 中央都市アマルーナ。
三女神教の神官タマは、教会の教えで禁忌とされる魔物食をも厭わない変わり者である。
今日も今日とて、上司であるマルコ司教のお小言にもめげず、自分自身の美食を追求していく。

水棲魔獣のカルパッチョ、魔獣の骨から出汁をとったモツ煮込みスープ、絶品有角兎のロースト——といった高級料理から、
庶民の味であるラーメンやおにぎり、焼き鳥——などなど。
時にはダンジョンへ飛び込み、ジビエ食材を自ら狩りに行く!

世界のあらゆる『食』を堪能する、腹ぺこ神官物語のはじまりはじまり〜!

 

★感想

同じ作者さんで5冊目くらいかな?ちょうど良い分量と挿絵がベストタイミングなので安定して楽しめる。

ENTP感ある美食家神官っ娘が織りなすグルメもの、冒険譚を添えて…と言った感じ。セティはキャラデザからも分かるがあのキャラをモデルにされてると思うと食事シーンは笑いが誘われる。

今後なぜ魔物肉が禁止されてるかとか主人公がグルメになった理由も知りたいですね。

飯テロ系等の作品は癒されるので定期的に読みたくなりますね〜。

 

17.イワンの馬鹿

☆概要

19世紀から20世紀初等にかけて活躍した帝政ロシアの文豪、トルストイによる「イワンの馬鹿」を、大正から昭和初期に小説家・劇作家として活躍した菊池寛が子供向けに翻訳したもの。働き者のイワンと悪魔の物語。

 

★感想

馬鹿の概念、壊れる…というよりかは解釈の仕方ですね。イワンは馬鹿馬鹿言われてますが他の楽してお金や武力などを得ようとする人物達とは考え方や見ているものが異なっています。(働き者で、物を求められたら惜しまず与えてます…ただし他者に害をなしたら駄目などの制約はあります)なので、ほかの人物からしたら価値観がかけ離れているため愚か者に見えるのかと。しかしその馬鹿が悪魔を退け上手く国を回しているのですから、どっちが馬鹿なんでしょう…結局のところ、人が勝手に決めたことはどうとでも解釈できてしまうんですよねぇ。

 

18.桃太郎

☆概要

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の後期の小説。初出は「サンデー毎日」臨時増刊[毎日新聞社、1924(大正13)年]。「白葡萄」[春陽堂、1925(大正14)年]に収録。昔話「桃太郎」のパロディであるが、日本政府が中国を植民地化したことを訴える内容となっており、その政治性、時代性から初期プロレタリア小説と位置づける見方がある。

 

★感想

物事には二面性があるように、桃太郎は一見正義の物語であるように思われて全てがそうではなかった…パロディ作品。鬼達にとっては桃太郎は悪、暴虐そのもののように感じるだろうし、この物語では桃太郎自体良心だけの人間ではない。

力あるものが成し遂げたことが語り継がれ、裏の側面は誰も知らない。いつの間にか物語は美化されていくものなのかもしれない。

 

19-1.きのこ会議/19-2.空を飛ぶパラソル

★感想

夢野久作さんを2作品。

どちらも皮肉が描かれているので作風かな?

特に空を飛ぶパラソルに関しては読了後に後味の悪さを感じさせます。後セリフがカタカナ混じりなのが(多分意図はしてないと思いますが)怖気モノです…。

(以下ネタバレ)

 

主人公は記者であり、自らのスクープ=私欲のために自殺する人を止めることをせず——酒を飲むと幻影さえ見えてくるというのに更に探りを入れ記事を書いたことにより自殺を誘発させてしまいます。

 

今はネットでも数多の記事が生み出されていく時代ですので、現実にもありえないことではないでしょう。勿論誹謗中傷を書き連ねれば訴訟されることもありますが…多くの人が目にするので住所を特定されて嫌がらせなんてのもあるでしょうし。

何が間違っていて正しいのか、多数のために個人は蔑ろにされていいのか。皮肉が効いた作品です。

 

20.斜陽

☆概要

無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の長編小説。初出は「新潮」[1947(昭和22)年]。母、かず子、直治、上原の四人を中心として、直治の「夕顔日記」、かず子の手紙、直治の遺書が巧みに組み込まれるという構成の作品で、没落していく弱きものの美しさが見事な筆致で描かれている。発表当時から現在に至るまで賛辞の声がやまない、「人間失格」と並ぶ太宰文学の最高峰である。

 

★感想

心理描写ががこれでもかと緻密…感情爆発ドロドロ煮込みって感じ(?)。特にかず子が想い人の芸術家に向けて書いた手紙には戦慄した。強烈な感情は、簡単な言葉を続けて並べる方がダイレクトに伝達される…。しかし太宰さん作品は女性のメンタルが鋼鉄。逆に男は堕落しているんですが、今読んでもリアル。終盤の母親とかず子のやりとりでは、泣きかけましたね…母に対する想いが共感できたからかもしれません。太宰さんの作品は、なるたけ精神が健常な時に読みたいですがそれそれで傷心っぽい状態になります…。

 

21.太宰治異世界転生して勇者になる ~チートの多い生涯を送って来ました~ 

 

☆あらすじ

愛人、富栄と入水自殺を遂げた太宰治は、気がつくと見知らぬ川のほとりに立っていた。
ここは地獄に違いない、きっと自分は閻魔に裁かれるのだと恐れる太宰だったが、どういうわけか住民は欧米人であった。てっきり地獄も文明開化したのかと思いきや、太宰は召喚勇者であり、人々を苦しめる魔王を倒しうる存在だと告げられる。
いきなりそんな重い設定を語られても、富栄と離れ離れになったせいでやる気が出ない太宰だったが、魔王の正体が先に転生していた文豪、川端康成であると知り、芥川賞とか芥川賞とかあと芥川賞の件もあることだし、快く魔王討伐を引き受けるのだった(ただし、酒、女、自殺未遂をやめるとは言っていない)。
こうして、勇者、太宰治――保有スキル「水属性魔法LV99」「薬物耐性LV99」「川端康成特攻LV99」――の冒険が始まる!

 

★感想

文体がほぼ太宰さんや…。小ネタ満載で、作品を読んだことがある人はより一層楽しめる設計。知らなかった太宰さんの出生関係も分かります。

勿論太宰さんを知らなくても走れメロス程度を知ってれば十分楽しめる内容です。

初手入水しようとしているのを皮切りに、ダメ男っぷりを発揮しまくってます。それがギャグとして成り立ってて特に序盤あたりは笑いが止まりませんでしたね…。

めちゃくちゃチートしてますが、もともと備え持った女たらしのスキルも比肩してると思いました…w

 

22.はつ恋

☆概要

16歳の少年ウラジーミルは、年上の公爵令嬢ジナイーダに、一目で魅せられる。初めての恋にとまどいながらも、思いは燃え上がる。しかしある日、彼女が恋に落ちたことを知る。だが、いったい誰に?初恋の甘く切ないときめきが、主人公の回想で綴られる。作者自身がもっとも愛した傑作。

 

★感想

こんな初恋話聞かされたら他のもんも霞みそうですわ…wとなるくらいには鮮烈。

主人公の恋によって湧き上がる若々しくも燃え上がる感情の奔流が独特の表現で語られます。女性も凄まじいですが男もポエマーになることがわかりました(え?)

主人公の年で大人の階段駆け上がりすぎちゃった気もしますねぇ…恋愛観狂いそう。

 

23.野菊の墓

☆概要

明治期の歌人、小説家である伊藤左千夫の代表的作品。初出は「ホトトギス」[1906(明治39)年]。夏目漱石より「自然で、淡泊で、可哀想で、美しくて、野趣があって(中略)あんな小説ならば何百編よんでもよろしい」との評価を受ける。15歳の少年・斎藤政夫と2歳年上の従姉・民子の間に可憐な恋が芽生えるが、やがて悲しい別れの日がやってくる。明治初期の農村を舞台に描く、美しく悲しい純愛物語。

 

★感想

若き男女の青い春を感じさせるやり取りが瑞々しさを感じさせ、のどかな風景も混じって趣がある作品。やはり初恋はほろ苦かった…それも手放せないほどの傷跡を残して。

文体は古くはありますがそれを踏まえてもかなり読みやすいんじゃないかと思います。

 

24.後宮の検屍女官

☆あらすじ

「死王が生まれた」大光帝国の後宮は大騒ぎになっていた。
謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で赤子の遺体が見つかったのだ。
皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明(えんめい)の目にとまったのは、
幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花(とうか)。
花のように愛らしい顔立ちでありながら、出世や野心とは無縁のぐうたら女官。
多くの女官を籠絡してきた延明にもなびきそうにない。
そんな桃花が唯一覚醒するのは、遺体を前にしたとき。彼女には、検屍術の心得があるのだ――。
後宮にうずまく数々の疑惑と謎を検屍術で解き明かす、中華後宮検屍ミステリ!

 

★感想

国史やら文化には疎いのと、ミステリーなこともあり登場人物が多く全ては理解しきれませんでしたが…主人公とサブのイケメン延明さんの過去掘り下げを絡めつつ事件の真相を探っていく構成は完成されているように感じました。

舞台設定が普段読まないこともあり新鮮でした。時代に合わせた知識量も持ち合わせているのも感じられます。

 やはりメインプロットとサブプロットをしっかりとまとめ上げるのは作者の技量が求められるなあとつくづく。(この作品の場合ざっくり言えばメイン→事件の解決 サブ→主に延明さんが苦悩から解き放たれる)中途半端だと消化不良になりますからね…終わりよければ全て良しというように、逆もあります…締め括り大事。

 

25-01.僕の孤独癖について

☆概要

明治から昭和にかけて芸術的な口語自由詩を確立した詩人、萩原朔太郎によるエッセイ。かつて朔太郎は人嫌いで孤独癖があった。どういった経緯でそのような気質になったのか、生まれ育った環境や学生時代の問題などから理論的に探り、孤独という題材を鋭い感受性で表現している。

 

★感想

作家さんは感受性の強い方が一定数いるんだろうなあと…。しかしこの場合、環境によるものもかなり大きく作者本人もそれを感じているようです。

そして共感できるのは、孤独を好むけれどやはりどうやっても一人では生きていないというところ。

友人は少なくても良いから居てくれると大いに心の支えになるものです…。

 

25-02.藪の中

☆概要

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の代表的な短編小説。初出は「新潮」[1922(大正11)年]。短編集「将軍」[新潮社、1922(大正11)年]に収録。検非違使の尋問に答えた旅法師らの供述と当事者である「多襄丸」の陳述など、複数の人間の証言からなる形式で殺人事件の真相にせまる物語。「今昔物語集」巻二十九第二十三「具妻行丹波国男 於大江山被縛語」を原典とする。発表当時から現在まで実に多くの関心を寄せられているが謎の多い名作。

 

★感想

いろんな解釈ができる作品だというのがまず。

言い得て妙のタイトルの通り、証言する者たちの言葉を照らし合わせると矛盾だらけであり事件はまさに藪の中のよう。

人の言葉は信用できるものではない、見ているものも真実かは分からない…そして愛し合っていた男女でさえも、あっけなく心離れする。

真実とはなんぞや、思わされますね。そして、人の言葉も心も、矛盾を抱えたり移り変わったりするわけで…なんとも、人間達が生きるこの世の空虚さと言いますか暗い部分を感じさせる作品です。

 

26-01.手袋を買いに

☆概要

昭和初期の児童文学作家である新美南吉の童話。初出・初刊は、生前計画され死後刊行された第二童話集「牛をつないだ椿の木」[大和書店、1943(昭和18)年]。「ごん狐」と同じく狐を題材としており、どちらも小学校国語科教材として広く親しまれてきた作品である。母狐が子狐に手袋を買ってやろうと考え、子狐が人間の経営する帽子屋に買いに行く話。

 

 

★感想

短いながらも雪景色を想像しながらほっこり出来る作品。雰囲気が個人的にかなり好きです。

何となく思い出したのが小学生の時読んだ「このはのおかね、つかえます」

 

 


ですね…とても温かくて優しくて、好きな作品でした。

人と動物でもお互いに歩み寄ろうとすれば心を通わせることができるはずなんです。

 

26-02.屋根裏の散歩者

※概要、あらすじなし

 

★感想

退屈を極めた男が、刺激を求めてある事を始めてしまう話。

江戸川さんって人間の気持ち悪い(褒め言葉)性癖やら嗜好を描くのが上手いよなあと…。

文体も面白く、三人称のように思えて神の視点っぽい感じ。基本的に短い作品が多めなので読み易いのも良いですね。

 

27.ガリヴァー旅行記

☆概要

18世紀前半のアイルランドの作家ジョナサン・スウィフトの風刺小説で、昭和初期~戦後期の抒情作家・詩人である原民喜の唯一の翻訳作品。奇妙奇天烈な国への旅行記を装った当時の社会への痛烈な風刺であるが、この翻訳では紀行的興味よりも戦争や人間の愚かさを中心にして再話されており、広島で被爆した訳者の静かなメッセージが読み取れるものとなっている。

 

★感想

王道の冒険ものかなと思って読んでみたら想像以上に面白かった。主人公ガリバーは様々な国を巡ることとなります。最初の小人の国からインパクトが強く、スラスラと読み進められます。そこでガリバーは人間社会ではまず考えられないような習慣や価値観などを目の当たりにすることに。小人はものすごくちっさいことで戦争し、巨人の前では自分は本当にちっぽけ…など。紆余曲折あり、最終的には人間ってヤダ…って感じになっちゃってます。

よくこんな世界観思いつくなあ…。

 

28.恩讐の彼方に

☆概要

大正から昭和初期に小説家・劇作家として、また「文藝春秋」を創刊し雑誌発行人としても活躍した菊池寛の作品。主君殺しの大罪を犯した市九郎は逃亡し、やがて出家して諸国を放浪していた。一方、殺された主君の子である実之助は長い仇討の旅の末、市九郎を洞窟で発見するのだが。

 

★感想

冒頭からインパクトある戦闘シーンから開始し、人を殺めることに手を染めてしまった市九郎が赦されるまでの話。

現実では中々罪人が完全に足を洗う事は難しいですが、市九郎の場合は並々ならぬ覚悟と執念で多くの人を救うために事を成します。意識や心持ち次第で人は良くも悪くも変わることができる…けれど、変わることはエネルギーが要りますからそう易々とできることではない。この作品からはそのどちらも感じ取れるかと思います。

 

29.河童

☆あらすじ

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の代表的な小説。初出は「改造」[1927(昭和2)年]。生前は単行本未収録であり、没後「芥川龍之介全集」第4巻、「大導寺信輔の半生」[岩波書店、1930(昭和5)年]などに収録。「新小説」[春陽堂書店、1922(大正11)年]掲載の「河童」とは別物。ある精神病患者が河童に会った話をする。

 

★感想

一言で表すならヒェッ…です(?)。主人公が統合失調ということもあり、「さよならを教えて」(究極の鬱ゲー『さよならを教えて』をゆっくり紹介するよ - YouTube)

…が脳裏にチラついた…その作用もありなんとなく鬱っぽく感じてしまって先入観マシマシでした。

実際のところ、虚構と現実の区別をつけられない内容となっております。河童の国に訪れたのが現実か否かで解釈が変わってくる印象。

とはいえ、どちらにせよ…以下の解釈ができるかと思います。

・河童の国は人間社会とは全く異なるが完全なる楽園ではなく、むしろどちらもディストピアと捉えることができる。

・虚構も作り上げればそう現実と変わらない。見ているものが真実かどうかは案外分からないものだ。

・人間の国に一度は帰りたがったこと、その後にまた河童の国に行きたがったこと。そのどちらもが「現実逃避」である。

 

…とまあ考えるほど違ったものが見えてきそうな作品であり自分の手には余るのが正直なところでございます。

純粋に河童世界の摩訶不思議感を楽しむ読み方が健全です。主人公が統失である事を念頭に置くともれなく気が沈みます。

 

30.ルバイヤート

☆概要

セルジューク朝期ペルシアの学者・詩人、ウマル・ハイヤームの詩集。底本は「ルバイヤート」[岩波書店、1949(昭和24)年]。「ルバイヤート」とはペルシア語で「四行詩」を意味する「ルバーイイ」の複数形で、直訳すると「四行詩集」という題。それはペルシア語詩の形式の一つである。エドワード・フィッツジェラルドの英訳から一躍名の知られるようになった神秘的詩集。

 

★感想

酒、とにかく酒…。

酒飲めないんであんまり共感はできなかったんですが詩自体は不思議な魅力があります。

悲観的なようで前向きで、なんか元気が出るんですよねぇ…酒飲んで今の人生楽しもうぜ!ってノリ。

さあ、起きて、嘆くなよ、君、行く世の悲しみを。
たのしみのうちにすごそう、一瞬を。
世にたとえ信義というものがあろうとも、
君の番が来るのはいつか判らぬぞ。

 

大空の極はどこにあるのか見えない。
酒をのめ、天のめぐりは心につらい。
嘆くなよ、お前の番がめぐって来ても、
星の下誰にも一度はめぐるその盃。

 

ところで作中によく出てくる酒姫は酌する美少年らしいですが…世界は広いんだなって。

 

 

総括

青空文庫がほとんどを占めてますね…いやホント、おもに日本文学無料で読めるのありがたいね!

Kindleで検索すると出てきますので日本文学や海外作品の翻訳等もあるので触れてみたい人におすすめです。

本音を言うと短い作品多いからすぐ読めて良いです…。