読んだ本の感想をば。2021.6月分+α
またまたお久しぶりです。
前回の投稿以降、日が空いてしまいましたが…主に本を読んでいました。
個人的な記録のようなものですが、何かのお役に立てば幸いです。
本を読むにあたって、以下の決め事がありました。
・ファンタジー中心に読んでいく
・知識書を+αで取り入れる
・知識書は紙媒体で買う
・知識書は読み返す
・1日1冊+休日は紙媒体を並行読みする
・紙媒体はKindle Unlimited適用外の物語を含む
・読んだ本はメモする
・読んだ本の感想等を投稿する
6月いっぱいまでに読んだ本達です。※☆マークは5月以前のもの。
なるべく避けていますがネタバレも含むため注意。
冊数は多分電子書籍が37冊程度なので45冊くらい?
文体が敬語だったり語り風だったりと統一されていませんが堪忍ください。
☆太陽の坐る場所
中々に衝撃的だった作品。何が驚きかと言えば、かがみの孤城を読んだ後にこの人間の黒さ全開なストーリーだったので。
だが、一見ドロドロに思える登場人物達の群像劇も終わりを迎える頃には前向きさを感じさせます。
過去に執着していた人たちが縄を解いていく姿を見送っていくうちに、核心へ近づいていく構成が好きだなあと思いましたね。
☆精霊に愛された姫君〜もう王族とは関わりたくない!〜
たまたま書店で見かけて、ファンタジーが読みたかったので手持ちの図書カードで買った作品。
内容は王道寄りではあるんですが、寧ろ王道が好きなので安心できる。最後まで楽しく読めましたね。
主人公の成長をきちんと描いてますし、強いていうならイケメン騎士団に加わるのちょっと遅かったかなくらい。続編あれば買いたいです。
和製ファンタジーの金字塔とも呼ばれる作品。
友人に借りて読んだのですが、自分は結構気に入っちゃいましたね。和と中華を掛け合わせたような世界観に加え、人物同士の心の触れ合いに温かみがあって好きです。
アニメも見たんですが、バルサが超かっこいい用心棒として描かれてて良かった。チャグムに関しては、終盤は中々感慨深い気持ちになりましたね。原作から結構改変多めなんですが行き着く地点は同じだったので続編見たいなあ。
☆転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す①
なろう系統の作品も読んでいこうということで何気に第一弾。
意外にもコミカルで、主人公がそれなりの天然であること後手伝って陰鬱な雰囲気などは一切ない。
それが読み口の軽さに繋がり、この作品の魅力になっている。
なにより、登場人物は件並みイケメンであるのはよくある話であるとしてきちんと魅力的なキャラクター付けをしているのでより楽しく読み進めることができる。
次巻も読みたいが、お値段高めなのでいつになるだろうか。
☆ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん①
この作品の良いところは二つあっだと思う。まずは小林と遠藤の推しである悪役令嬢・リーゼロッテだけでなく乙女ゲーの主人公であるフィーネもきちんと掘り下げているところ。次に、遠藤から小林への恋情をきちんと経緯を持たせているところだろうか。何気に、乙女ゲー悪役令嬢モノと青春モノの二つを合体させているのだが意外にも違和感がなかった。
こちらも二巻以降は有料のため買うかはまだ未定である。
☆MBTIへのいざない
こちらに関しては他の記事で。
☆竜と水面に光る街
上
舞台はオーストラリアで、典型的な日本人ISFJ的な三十路手前の男×長身(超人)の30代イケメン。(他にも属性モリモリだがあえて避けとく)ちなみに買ってからBLだと気付いたのだが、寧ろばっちこい。
SFということでどんどんファンタジー味が濃くなっていく展開。
登場人物達もイケメンに美女、国籍を混ぜた人達やイルカに時々竜といった個性派揃いで楽しく読める。その上、二人の関係性もきちんと掘り下げており作品の異文化の雰囲気を楽しみつつ、ファンタジーとしての展開にワクワクできる作品です。
下
下巻にあたって、メッセージ性がより強まっていきました。それは、自分の心からの望みは何か?ということで——それは案外難しいことです。私もよく考えているテーマではあるので、下巻まで読み終えて、感じることは一つや二つではありませんでした。作者によって様々な価値観が文へと形を変えていく。改めて小説って良いなと思いましたね。
・青の王-ナルマーン年代記
三部作ということですが毎度登場人物は違うようなのでこの一冊でも完結しました。
典型的な中世ベースのファンタジーということで魔族周りの設定が面白かったです。
特徴的なのは善と悪をハッキリ分けている部分に感じた。特に人間は顕著だった。
魔族は洋風ファンタジーみを感じる容姿だなあと勝手に想像してます。
メリバエンドにでもなるんじゃないかと途中不安になりましたがそれでもハピエンで良かった。
白の王、赤の王も機会があれば読みたいですね…。
・ティアムーン帝国物語Ⅰ
蓋を開けてみると逆行転生ものでした。
そう聞くとなろう系か…?と思い引け目を感じるかもしれませんが、決して退屈するような内容ではなかったです。転生前の記憶や経験を生かし、周囲に良くも悪くも勘違いされまくりながらも奮闘するミーナ姫が描かれております。
ミーナ姫はわがままで天真爛漫なおバカキャラですが逆にそれが飽きさせない、面白おかしさを引き立たせていると思いました。
このシリーズは結構続いているようですが、一巻でもかなり楽しめましたね。
・おかしな転生1 アップルパイは笑顔と共に
読む前に勘違いをしていたのだが、この作品はスイーツ作って異世界無双するのではなく、スイーツ作るために頭を働かせて無双するというのが正しかった。ゆえに、しばらく困惑しながら読んでいた。
つまりお菓子作りの描写自体は0なのだ。拵えたお菓子を食べさせるシーンはあるが…。
この作品の肝は貧しい土地の領主である父親と、その息子が機転を効かせたり(息子である主人公が大体無双するが、父親も主役格である)持ち前の力を発揮し窮地(?)を乗り越えて美味しい思いをするかという部分にある。
そして文章自体は辞書で調べないとわからないような単語がそれなりに練り込まれており語彙の豊富さを感じさせる。その分やや複雑さも感じさせた。貴族や土地を管理する者達の内情等がこと細やかに書かれているのでそこに興味が持てる人は説明的な地の文も楽しめるかもしれない。三人称(神の視点)であるため、やや淡々とした印象もある。お菓子でみんなを笑顔にしてほっこり…という展開は少なくとも一巻時点ではなかった。(タイトルは笑顔だが…)
漫画版もあるので、そっちの方がライトで読みやすい可能性もありそう。
・ひきこまり吸血姫の悶々1
上の作品を読んだ後だと読みやすくて感心してしまった。主人公を魅力的に描くという作品の鉄則に近い部分を意識して組み立てられており、新人賞も納得の出来でした。
唐突感があるように思えた終盤の展開も、至るまでに伏線があったためそこを考慮すると筋が通ってると思いました。
百合好きにも親しまれそうな内容ですし、こういう作品もラノベ界にあるということを知れて良かったです。イラストも可愛らしいですし、機会があれば2以降も読みたい気持ちはありますね。
ゆっくり読み進めていた作品なのですが、途中で紛失するという事件もあり思ったより読み終えるのに時間を要してしまいました。
中盤以降からが本腰といったところで、作品の印象もガラリと変わりましたね。主人公の枇杷ちゃんは結構はっちゃけてるというか…ニートでガサツ。結構な芋っぷりの女の子なんですがそれが女性作者じゃないと書けないなーって思うんですよね。
なんでも綺麗にまとめてるもんじゃなくって、10年同じTシャツを着回してる人もいると思うんだ。それは男女関係ない。
ファンタジー中心に読んでいますがこういう現代とコミカルの結合しているのも良いですね。とはいえ、一概にもコミカルで片付けられるような作品にも思えないですね。だからといって恋愛とも言い切れない、ラノベだからといって軽くなく、深いメッセージ性も感じれる…そんな作品でした。是非その感覚を確かめてもらうためにも一読を勧めたいですね。
・レミアの翼
児童文書らしく、ページも比較的少なめでした。
かなり展開は早めですが、伝えたいことは一貫しています。主人公のレミアは典型的なENFJで、誰かの幸せを心から願い行動できる子です。
そんな彼女の身を挺した行いが周囲を変えていくという、王道ながらにメッセージ性の強い話なので確かに子供が読んだらわかりやすいですね。
これを筆者さんが中学生で書き切ったというのが一番の驚きですが…。
・カドルステイト物語1
偶々なんですが、レミアの翼と同じ作者さんです。
中世基盤の世界観だと思うのですが、地に足がついてるからかオクトラっぽい!というのが所感ですw
盗賊の話が多かったのでテリオンについて考えちゃいました…。(多分TRPG要素もあるからだとは思うのですが。…TRPGについてはそこまで詳しくは知らないけども)
主人公がこれからどう成長するのか気になるところです。
・水属性の魔法使い 第一部中央諸国編
お馴染み(?)のなろう出身作品。しかしながらテンプレ的展開ではなく毛色は異なります。
まず主人公が努力家という特徴があります。何もしない怠惰な人間じゃないというだけで印象が大幅に違ってきます。与えられた魔法に関しても制限があり、試行錯誤を繰り返している姿が三分の一もの枠を割いて描かれています。主人公の性格が天然だけど毒味の少ない穏やかな人柄なのが個人的にマッチしてました。無駄に思える努力シーンも成長を感じさせる上、掘り下げにもなってる。
アデルが出てきてからが本領発揮といったところで、無駄に美少女出してこないところも評価ポイント。続き出たら買いたいですねw
・魔術師の杖-錬金術師ネリア、師団長になる
蓋を開けてみればなろう小説でした。Kindleのなろう率の高さからなのか、自分のチョイスが引き寄せられているのか…多分後者です。
序盤よりも中盤以降からが安定して面白くなってきているなという印象です。
序盤はネリアが師団長になろうと話す→突然悪態をつくという展開に疑問を覚えましたがそれ以降は豊富な発想力と誰かの役に立つようなものを作りたいという広く良心的な動機で周囲を巻き込んでいきます。(根底は師匠であるグレンが関係しているでしょうが)
キャラクターの個性も確立されていますし、なにより飽きさせない文章なんですよね。
まあ、錬金術師という、手を出してなかったジャンルということもあるでしょうけど…だとしても説明臭さを感じさせません。
また、本仕事と騎士団長、魔術師団長との仲を深めるパートとのバランスが良いです。
私的には心境の変化がきちんと描かれているユーリが好きですが、キャラデザがイメージと違ったなあ…。
全体的に見ると普通の逆ハー的転生ファンタジー作品かもしれませんが、作りは丁寧だと思います。今後の作品が楽しみですね。
・ティアムーン帝国物語Ⅱ
この作品は安心して読めますね…一見、ミーア姫が我儘と打算的な思考で動いている様に見えるんですけど、一回過去で失敗を繰り返し悲惨な目にあっているわけで。そうなると一周回って、今は祝福されているのではないかと思えてくるんですよね。
そして実質的に周囲も救ってるという…。
ミーア自身はファンタジー版ちびまる子ちゃんみたいな子ですが、ほんと憎めない性格してます。(ESFP感ある)
このままみんなに愛されて幸せになってもらいたいものです。
・水使いの森
国を抜け出した王女と水蜘蛛(水を中心としたあらゆる魔法的なものを扱える種族)との出会いと成長を描いた作品…というと精霊の守り人を思い出す。
ただ、手法としては群像劇形式で、王女ミーアの他に呪文を唱えない風使いのハマーヌと皇室視点などで展開されていく。
友情とも似つかわしいようなハマーヌと相棒のウルーシャとの関係性は上手く描いてるなあと…。読み進めていくうちにハマーヌの異端さが明らかになっていくと共に素直に感謝を伝えられない不器用さがお互いにあるところが中々…近い距離にいるからこそ言えないことってあるよなあと。
ミイアに関しては、もう少し内面の掘り下げや葛藤が欲しかったところ。かなり最初の方から肝が据わってた上に、最後の方では大人も顔負けである。とても子供とはとても思えない。一方、彼女の師匠であるタータは水蜘蛛の長であるラセルタとの対比が効いていた。
古い価値観に囚われた集落を新しい知識で導こうとするタータと、一族をまとめ上げながらもタータを尊重するラセルタ。
テーマ性としては恐らくは過去の確執や時の流れや人々の心理によってねじ曲げられてしまったものからの脱却。また、水蜘蛛族の男と結婚して、子供産む主義を謳ってるあたり、精霊の守り人とはこの点かなり違うと思うんですよね…。(まあ文化の違いではあるけど)
・聖女とは仮の姿ッ! 1
転生もののパターンとして完全に別の世界(だいたい地球)から転生するか、世界軸が同じの状態で転生するといった組み分けがある感触。
今回は後者であり、主人公の前世は貴族。その設定も無下にされておらず、立ち振る舞いや度胸などに現れている。そして驚いたことに転生以上の秘密が主人公に秘められていたことにも驚いた。動機付けをきちんと掘り下げようという意識が感じられました。
作風自体はシリアスすぎなくて口当たりも良い感じにライト。
・はてしない物語 上
かなり前の作品ですが色褪せない名作の一つでしょう。海外のファンタジー作品も取り入れていきたいところではあります。こちらは30ページずつちょこちょこ読んでいたのですが後半の展開が気になって制約を破りましたw
やはり世界観が日本製とは違うなあといったところ。より人物や世界が多様的に展開されていくんですよね。キャラクターも全員印象に残るレベルで濃い。
下巻が楽しみです。
何読んでるんだって?いや、気分転換にね。寝取られは嫌いな部類なんだけどこっちは寝取りな上に、寝とりをする経緯が命を救ってくれた男友達のためという動機が根底がある。
ネタバレは避けるがこれは不器用な男の物語なんだと私は思いました。きっとね。(BLというよりかは友情だと思う。多分)
荒削りな展開ではあるものよ、そこにエロという二次元エンターテイメントが加わることでここまで楽しめるとは。感謝。
気分転換のつもりが結構気に入ったので漫画版も買いました。たまにはこういうのも楽しいね。
とにかく胸糞悪いNTRではないと思うので異世界(ゲーム風)+エロで無双が読みたい人は是非。
・ひきこまり吸血姫の悶々 2
前作が気に入っていたので続きを。
主人公が魅力的に描くことの大切さが身に沁みます。基本的なことなんだけど、難しいことでもあります。
臆病だけど勇敢という言葉が似合うコマリンの信者になるしかない。というか絵師さんが強いのでキャラクターみんなイメージ通りというか美少女可愛い。
・聖女とは仮の姿ッ! 2
自分が読んだ限りでは転生した経緯とか前世について明かす主人公はいなかったんですが、今回で前例が打ち破られましたね…。
そして願ってもない形ながらでも前世との因縁を打破する主人公は男も惚れるでしょう。
イケメンとの絡みだけでなく、同じ聖女との友情との配合も絶妙でした。主人公の目的も明確なので脱線していたり、漫然とした感じもなかったです。
・魔導の系譜 1
意図せずともファンタジー×師弟ものを読んでしまう現象。今回は男男で…。基本的に弟子を送り出す流れかと思わせておいて、そうじゃないパターンです。
まずメインのレオンとゼクスは自分と向き合うことができる類のキャラクターだと感じました。お互いに物理的な距離を置いたことにより内省を重ね、出来事を乗り越えることで自分なりの答えを得ていく姿勢が好感を持てます。
この作品は差別問題にかなり重点を置いています。ただ、ひたすらに差別する側の非情さを描くのではなく、される側もまた一筋縄ではいかない内情があります。
それでも、理解者が居たり仲間同士の繋がりを感じたりと節々に人間及び魔導士達の心の温かさも感じられました。
魔法関連も独自の設定を組み込んでおり興味深かったです。
・転生ぽっちゃり聖女は、恋よりごはんを所望致します!
転生ものの中でも、コメディ色が強い内容。あまり細かいことを気にせずノンストレスで楽しみたい人向けかなという印象です。
期待通り食べ物の描写は良かったのでそこのところは文句ないです。
ただ、ストーリー性でみるとやはりご都合主義展開寄りですね。聖女ということで、神の力を使い放題しちゃってます。展開もサクサクで、周囲の人間達は大体すぐにマンセーしちゃってます。なろうの波動を感じた。
転生令嬢は冒険者を志す 1
こちらもなろう発祥。中盤辺りまでは通例の無双を繰り返す感じですが、今作は乙女ゲーム?の世界なので悪役令嬢的ポジションである主人公は、原作のヒロインを目の当たりにすることがターニングポイントになりました。
そこで心の葛藤を描いており、今後の展開が気になりましたね。こちらの作品も前世は明かしてくスタイルで、意外と数はあるのかなあ。
一応、魔法は天性のもので前世の知識を生かしていますが、騎士学校に入学するために剣技も努力で身につけてます。すんなり習得できるのはまあお約束ですかね…。
ところで、カタカナの固有名詞多くて覚えられないなあ…。
・穏やか貴族の休暇のすすめ。1
主人公愛されはもはや転生者の鉄板ですね…。
この作品の主人公である元?宰相のリゼルは頭脳明晰な人物で、冒険者ではありますがあまり戦闘シーンには割いておらず貴族ということもあり交渉や打算的に動いている場面が多めです。
BLというよりかは手前くらいの友情という感覚。主人公は男にしかモテませんし(今のところは。というか女キャラまともに出てきてない)、それを踏まえると女性向けの作品ですね。結構緩めの雰囲気が好きな人にもおすすめかと。
・処刑少女の生きる道 1
GA文庫新人賞対象受賞作品。
ラノベって文章稚拙だよね?設定に複雑さがないよね?とかいう偏見をひっくり返すほどの精密な作り込み。
また、男主人公がハーレム系が多い中で女主人公が愛され風味というのも個人的には好きなポイント。
異世界人であるアカリの性格は違和感があるように思えてきちんと理由があり、それによって作品の深みが相当に増している。
無駄な設定がない気がする、本当に。伏線回収も華麗にこなすしレベルが高い。
ただ世界観としては異世界人=日本からファンタジー系世界へ召喚された人を殺さなくてはならないので明るい雰囲気の作風ではないですね。(それも明るい性格のキャラクターがいることで和らいではいるかも)主人公のメノウとモモも重めの経歴持ち。
魔法のメカニズムに関しても説明がやや複雑ではあるが書き込まれた文字、聖書の一節から抜き出すという発動方法はカッコイイ。
最近の流行りである異世界という要素に加え、新たな視点から切り込む緻密な世界観、伏線回収などあらゆる点において秀でた作品だと感じました。
気になる方は是非一読をば。
・悪魔のような公爵一家 1
勘違いモノのコメディもの。この作品、アニメか漫画にしても人気が出そうです。
まず挿絵が良い仕事してます。とにかくこわーい顔をしたり意味ありげな発言をしたりで誤解されまくりな公爵一家ですが皆総じておちゃめであり悪人どころか寧ろ良い人。
息抜きに読むには適している作品ですね。
・精霊幻想記 1.偽りの王国
なろうで掲載されていた作品。ですが、近年の転生ものとは異なり、こちらも転生要素はあるのですが内容はシリアス色がかなり強いです。
また、文体も丁寧ですしラノベ作家さんが書いたと言っても遜色ないんじゃないかなと。
主人公は貴族や王族などと言った権力の大きさを理解しており立場を弁えた上で実力を隠したがり、謙虚な姿勢を貫きます。
その分、拷問されたり虐められたりと散々なものですが、心の拠り所であるヒロインはちゃんと居ます。ただ、そのヒロインも立場上どうにもしてやれないというのがもどかしいですね。
この作品は既に巻数がそれなりに出ているのでどんな場面で実力が発揮されるのか、報われる方向へと転換できるのか気になるところではあります。
アニメ化もした作品ということで何巻か無料になっていましたので拝読。
まず途中で断念しそうになりました。「転生したらスライムだった件」の原作をなろうで少し読んだことがあるのですが、この「無職転生」にも似たような気持ち悪さを感じました。
その最大の要因は主人公が性欲に忠実であること。彼視点なので生々しさがダイレクトに伝わってきます。例えば…
(ネタバレ注意)
彼に魔法を教える側の少女のパンツを盗んで保管するシーンはかなり気色悪いですね。個人的にもっとも嫌悪感を抱いたのは両親の性行為に対してお熱いねぇと感想をこぼすシーン。…流石にキッツイ。
しかしながら、頭の中が性欲に忠実な人間なんてわんさかいるでしょう。そんなもんなんだよな。
断念を回避したのは主人公の父親が主人公と同格かそれ以上のクズキャラだったからです。彼はいろんな女性を抱いています。(しかも使用人を孕ませてしまい家族崩壊しそうになりました)
それにより相対的にいっそこの世界の男キャラはグズなのだと割り切ることができたため読み切ることができました。
(まあ、基本的に男性向けだと思いますこれ。)
読み終えてみて分かったのですが、寧ろ主人公の気持ち悪さがなくなってしまうと、よくある普遍的な転生ものになってしまうんですよね…。(とはいえ、2014年あたりの作品なのでまだ新鮮だったかも。転スラと似ているのは時期が同じなため)
魔導の福音
魔導のシリーズ第二作目。前作「魔導の系譜」のレオンとゼクス師弟コンビは出てきますが主人公は地方領の貴族の嫡男であるカレンスですね。
前作同様、やはり差別問題が主軸に描かれています。魔導要素は少なめです。
今作で登場したサブキャラクターであるアニエスという王国でも力のある貴族の令嬢がかなり好きです。
(ネタバレ注意)
アニエスは学院で唯一の女性。剣技が逸脱しており、男顔負けの実力者です。
彼女はレズビアンだと自分から告白しています。普通じゃないと周囲から嫌厭されても跳ね除けてしまうくらいには度胸もあります。
カレンスが自分を卑下したくなるのも彼女がカリスマ的存在なのが大きいかもしれないですね…。
ただ、それはカレンス視点であるからこそで、彼にもアニエスが信頼を置くほどの何かがあったんだと思いますね。私的にはアニエスを異性、つまり恋愛対象(または性的に)見るのではなく友人として対等に接してるからなのではないかなと思ってます。中々いないと思うんですよね、そういう男友達って。
カレンスは根底に優しさがあり、間違った選択を自身の過ちであると認めることができました。そもそも彼は貴族であり、中々差別される側である魔導士のことまで考えてやれないと思うんですよね…そこを改めるようになったのは間違いなく彼自身の意思によるものです。
三作目も読む予定。
星の羅針盤 サラファーンの星 1
ファンタジー読むとなると創元推理文庫作品が多めになりますね。
こちらの作品はかなり世界観が壮大かつ緻密に練り込まれています。ファンタジーではあるのですが、戦争を大きく取り上げているからか地に足がついている感覚があります。
それでいてメインに据えているのは人々の緩やかな日常と心情の変化でした。
戦争に関することが多いためか複雑さが拭えず、全てを理解するのは難しかったですね。
一作目ということでまだ序章もとい導入部、物語の盛り上がりはこれからと言ったところでした。
これだけの人々の心情、世界観や戦争関連に関してこと細やかに描くのは作者さんの技量あってのものだと思います。
主人公たちは戦争に加わる側ではありません。日々を生きる中で不穏感は見え隠れしながらも少しずつ変化していく。終始穏やかささえある不思議な作風でした。
シャバの普通は難しい 1
無双系ですが、人様の言葉を借りればそれも様式美として完成されている本作。
主人公であるエルマは監獄で施された教育により逸脱した能力の持ち主。それゆえに普通になろうとしても上手くいかない…完璧だけど変なところで抜けているという、なんとも魅力の感じるキャラクターに仕立て上げられています。
彼女の背景にとどまらず育て元の囚人達に関しても練り込まれており、物語の終盤から明かされる事実にはあっと驚かされましたね。
まとめますと、この作品のうまいところは惹き付けられる設定と飽きさせない一種の様式美にあるでしょう。
これは次巻も読みたい良作です。
友人キャラは大変ですか? 1
上の作品から勢いで二冊読んでもうた。
この作品はとにかく展開が読めないという部分で面白くて、本当に最後まで分からないw
主人公は友人キャラ極める!というか友人キャラでいたい!という姿勢だが与えられた役は全うする気はあるらしい。とにかくポジションを気にしているようだ。
まあ悪い意味では期待は裏切らず、楽しめると思うのであっと驚かされたい方は是非。ネタバレすると面白くなくなるのでやめておきますw
手のひらにひとひらの
貴族×奴隷のオーソドックスなBLモノ。
受けのミカくんは、奴隷として売り払われ体が弱ったことで前の主に突き返されてしまう。高熱で衰弱し、捨てられかけていたところを攻めのエルネストに拾われ、懸命な介抱により元気を取り戻す。
ミカは命を救ってくれたエルネストを直向きに慕い、エルネストはミカを自身に変化を与えてくれた存在として認識する。
ミカは控えめですがとても健気な子で、従順さから数年後も少年に思えるくらいですw個人的にはバルテルさんが良い人だ…と泣きそうになった。
奴隷関係の事情も詳らかに描かれていて参考になりました。
総合的に見えても癖が少なく、読みやすい文体でした。息抜きにBL読みたい方は是非。
・ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない 1
表紙絵がくろでこさんで可愛らしかったのもあって食指が動いた。
好みの差もあるだろうけど自分にはめちゃくちゃマッチしてました。というのも、かの昔は如月シンタローをめちゃくちゃ推していた自分ですので…。なんか目の下にクマがある感じのよれた男子可愛くて好きなんです。
今作品はそんな地味陰キャ系男子であるリオルの魅力がマシマシです。主人公兼ヒロイン視点ではありますがそれが魅力を引き立てる良い仕事してる。
リオルに一途すぎて天然とお馬鹿キャラの混合になってますが、愛を貫く姿勢は一貫していますからね。
それに、ヒロインちゃんは好かれるためなら努力を惜しまない子ですので好感持てます。
ちょっとだけ敵側の王子達が残念キャラ過ぎましたが。
恋愛ものでキュンとしたことない身からしてもその感覚が分かってしまった。キャラデザが素晴らしいのもありますが…挿絵って大事だなあ。かっこかわいい男の子キャラは正義。(可愛い成分多めの方が好きですが)
紙媒体が欲しくなったので漫画はそっちで買おうかな(と思ったら電子版しかなかった)
・地球さんはレベルアップしました! 1
女の子4人組による、ゆるゆるダンジョン冒険譚…かと思いましたがそれだけではなかった。
中盤あたりまでは緩い空気感がありましたが、4人揃って迷宮突破を目指すあたりから面白い。
4人のキャラ付けもしっかりしており、仲が深まっていく様子が分かります。マンネリしがちな戦闘描写もきちんと書き込まれていました。
無双系ではなくじっくり努力して成果を上げていくタイプの作品で、明るくコミカルな文体で展開されていくので読み手を楽しませてくれます。
主人公の命子が明るく物おじしない性格なので良い意味で他のメンバーを引っ張ってくれてます。
人間の業及びカルマが数値化され、悪人は淘汰される世界観…というのがなかなか考えもの。とは言え、間接的に小出しにされる程度。メインは命子達の冒険でしょうし、広げられていくは分かりませんが。この作品で私が感じたのは、世が変わりゆくのならば、自分が努力をし合わせていくことが生き抜く術であるということですね。突然の変化を、どれだけの人達が受け入れられるでしょうか。ですが世界はそう簡単には変えられません。自分が変わることも一つのさだめと言えるのかもしれません。
この作品自体は娯楽的な要素が強いですが、世界観やメッセージ性に関しては考えさせられるものがありました。
・エリィ・ゴールデンとイタズラな転換 1-2
3巻の途中まで読んでいたのですが続編の望みが薄いことを知り引き上げました。
この作品自体はテンポが良く、一気に読み進められるほどに惹きつけられる展開が構成されており間違いなく良作です。
まず主人公はイケてる男ですが不細工な女の子、エリィに転生してしまうというハンデが上手い。そしてエリィの過去を知り、元に戻った時のために色々してやろうという主人公の心意気及び動機がブレない。(うっかり百合に落ちることもない徹底ぶり)
他人のために手を差し伸べるということも躊躇しない、魅力的な主人公です。
読めば読むほど惹き込まれるので、巻数が進むほどダレる現象もない。8巻以降は望みが薄いですが全巻Kindle Unlimited無料なので読んでもらいたい作品。続きがもし出たら読みたいな…。
・魔導の矜持
魔導のシリーズ三作目。魔道士の卵・訳あり貴族の嫡男・元騎士の"落ちこぼれ"メンツを主軸に展開されていく。作者が自己と向き合ってきたことが作品を通してよく伝わってくる。
差別の要素は多いが、その中で葛藤を超えて理解し、支えとなってくれる人達が必ずいるのだということに心が温かくなる。
過去に作品のキャラクターの出演頻度も多めで、人同士の結束の輪が着実に広まりつつあるのを感じる。そこから何が生み出されるのか最終作が気になるところです。
・エリスの聖杯
これがなろうで掲載されてたのかという驚き。世界観自体はなろうで多くある貴族社会を描いたものだ。主人公のコンスタンスは普通の冴えない令嬢である。そこに驚異の記憶力と才知を働かせる公爵令嬢スカーレット(幽霊)が窮地を救うことでストーリーが展開されていく。
コンスタンスは平凡に見せかけて、他者を思いやり、自分の中にある信念を貫くことのできる心の強さを併せ持っている。これはスカーレットにはなかった部分であり、作中でもコンスタンスの優しさによって上手くことが運ばれる場面が幾つかある。
例によって無双するわけでもなく、サスペンス風味も漂わせる一種の成り上がり系統の作品。人物の多さによる混乱も、時折挟まれる人物解説のページによって一応解消はされている。